●1日はロト指揮読響へ(サントリーホール)。勇者ロトの冒険。ブーレーズの「ノタシオン」から第1、7、4、3、2番、ベルクのヴァイオリン協奏曲(独奏:郷古廉)、ハイドン「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」管弦楽版という攻めたプログラム。はじまりから終わりにしたがって編成が小さくなってゆく。
●前半は20世紀のオーケストラ、後半は18世紀のオーケストラとふたつの楽団を聴いたかのよう。ブーレーズはもう一段階緻密に整えられた色彩感を期待していたのだが、後半のハイドンはロトの独壇場。対向配置の弦楽器の後列に扇状に管楽器がほぼ一列に並び、ノン・ヴィブラート、オケは8型。細部まで彫琢されていて、この作品がこれほど表情豊かで雄弁だったとは、という驚き。長さをまったく感じないとまで言ってしまうとウソになるが、やはり傑作。
●「十字架上のキリストの言葉」という作品の根幹をなすコンテクストを抜きにしてこの曲を聴けるだろうか。聴ける、と信じたい。むしろ「地震」という表現が、どうしたって特定の地震を想起させずにはおかないので、ぜんぜんハイドンとは無関係の意味をくみとってしまうのが目下の問題。客席にハーディングが来場していたとか。
July 2, 2015