July 7, 2015

チリvsアルゼンチン@コパ・アメリカ2015決勝

チリ●南米チャンピオンを決める4年に1度のコパ・アメリカ(南米選手権)の決勝戦は、開催国チリvsスター軍団アルゼンチンに。これ以上はないという対戦カードが実現した。録画で観戦。
●コパ・アメリカの雰囲気は、なんとなくアジア・カップに似たところがある(そしてユーロに似ていない)。局所的な熱さ、欧州では見られない無軌道な個人プレイ、シーズンオフにやってくる罰ゲーム的延長戦の気だるさと代表のプライドをかけた真剣勝負との奇妙な混淆……。
●チリ代表を率いるのはビエルサ信奉者のサンパオリ監督。ビエルサ監督時代ほどの先鋭さは感じないものの、前線からのウルトラ精力的なプレッシングは健在。センターバックも含めて小柄な選手だらけだが、むしろ横幅はがっしりしていてパワフル。アレクシス・サンチェスやビダルといったスーパースターであっても、闘志をむき出しにしてファイトする。ぷんぷんと漂う南米的マチズモの香り。スタジアム内の雰囲気がすさまじく、技術ではなく気迫で(そして少々荒っぽいプレイで)アルゼンチン相手に完全にゲームを支配していた。全員攻撃全員守備のモダンな装いのなかで、10番のバルディビアがクラシカルなプレイメーカー風味を発散させる。
●アルゼンチンは相変わらずメッシ中心のチームなのだが、3トップがメッシ、アグエロ、ディ・マリアで、トップ下にパストーレという攻撃的な布陣を敷いても、まだベンチにイグアイン、テベス、ラベッシが余っている。ベンチの3トップでも世界制覇が狙えそうな異常なまでの余剰アタッカー陣。しかし前線の選手にいい形でボールが配給されることはほとんどない。むしろマスチェラーノでの守備での奮闘ぶりが目立つという展開だった。中盤までの激しい潰しあいによって、前線のタレントたちを孤立させるのはチリの狙い通りの形だろう。ディ・マリアが前半に負傷退場(ラベッシを投入)。
●0対0で延長に入ると、ラベッシやマスチェラーノの足がつってしまう。ずっとチリが押していたものの、アルゼンチンにも一度か二度の決定機はあっただろうか。でもほんとうにそれだけ。激しいバトルは満載だが、スペクタクルからはほど遠い120分のスコアレス・ドロー。PK戦はチリの一人目、フェルナンデスが直接ネットの天井に突き刺すようなとんでもなく強気のコースに決めて、チームを鼓舞した。アルゼンチンは一人目メッシが決めたものの、イグアイン、バネガが続けて失敗。チリは全員成功させ、最後の4人目アレクシス・サンチェスは相手GKロメロを嘲笑うかのようにタイミングを外したチップキック。中央にコロコロと転がったボールがラインを越えて優勝決定。実に南米らしい幕切れというか。アルゼンチンはワールドカップに続いて決勝で敗れた。開催国チリの初優勝は感動的だが、なんだか内向きな大会になってしまったなという印象も残る。

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