July 17, 2015

ノット&東響の「運命」

●16日はジョナサン・ノット指揮東京交響楽団へ(サントリーホール)。毎回ワクワクするようなプログラムを披露してくれるこのコンビ、今回は前半にストラヴィンスキーの管楽器のための交響曲(1947年版)、バルトークのピアノ協奏曲第1番(デジュー・ラーンキ独奏)、後半になんとベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。
●ストラヴィンスキーの管楽器のための交響曲は、前回聴いたR・シュトラウスの23人の弦楽器のための「メタモルフォーゼン」とネガポジ反転になっているかのような選曲。バルトークのピアノ協奏曲第1番では打楽器群を管楽器よりも手前に置くという配置で、作品の「ピアノと打楽器のための協奏曲」的な性格がはっきり打ち出されていた。ラーンキもアンサンブルの一員として精悍なバルトークを聴かせてくれて好感度大。
●メモ。バルトークのピアノ協奏曲第1番の第2楽章は、シェーンベルク「6つの小さなピアノ曲」Op19の第2曲+ストラヴィンスキー「春の祭典」。
beethoven_cut.gif●弦楽器の配置はバルトークでもベートーヴェンでも対向配置、下手側に第一ヴァイオリン、チェロ、後列にコントラバス、上手側にヴィオラ、第二ヴァイオリンという、最近見かける機会が増えている歴史的な配置(パーヴォ&N響とかも)。この配置だと、内声部が上手側に偏る形になって、通常の配置と比べてなにがそんなにいいのか、正直ピンと来ていない(理屈の上では音域ごとにグラデーションで並ぶモダンな通常配置が有利そうな気がするんだけど……)。ただ、ベートーヴェンとかになると下手側でスペクタクルが起きている間、上手側が全員必死で刻んでいるみたいな瞬間が訪れるのは、視覚的に軽く萌える。
●で、「運命」は鋭い輪郭を持った鮮烈で硬質なベートーヴェン。圧倒的。細部まで彫琢したうえで、唸り声をあげながらノットが煽って本番で「気迫のベートーヴェン」を積みあげた感。定期公演で「運命」をとりあげるとなれば、ありきたりな演奏では満足できないといった雰囲気が客席に漂うが、期待通りに特別な演奏になったのでは。このコンビ、今すごく充実していると思うんだけど、客席が思ったほどには埋まらないのが謎。

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