July 21, 2015

いずみシンフォニエッタ大阪第35回定期演奏会へ

いずみホール
●久々に大阪遠征。18日にインタビュー取材一本といずみシンフォニエッタの定期演奏会があり、強行軍なら日帰りも可能だったのだが、それではあまりにキツキツで心配だなと思い前日のうちに大阪に移動して一泊することに。これが大正解で、17日は台風の影響で大阪のJRが止まりまくっていた。当日移動なら遅刻必至。夕方、いずみホールに到着した頃には写真のようにすっかり空は晴れあがっていた。
●曲目はヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ」第9番、同じく前奏曲第3番イ短調「バッハへの讃歌」、西村朗のギター協奏曲「天女散花」(以上ギターは鈴木大介)、坂東祐大「めまい」(委嘱初演)、ファリャ「恋は魔術師」(1915年版、林美智子メゾソプラノ、太田真紀ナレーション)。飯森範親指揮いずみシンフォニエッタ大阪。プログラムはもりだくさん、しかも一曲一曲の演奏のクォリティも高いという、ぜいたくな公演。
●坂東祐大作曲「めまい」は、ヒッチコックの映画「めまい」とバーナード・ハーマンの映画音楽「めまい」、それに実際の症例としての「めまい」に着想を得たという作品で、「耳鳴り」「痙攣」「集合体恐怖症」「過呼吸」「吐き気」「幻覚症状」の6つのセクションからなるという、説明を聞いているだけでも心身の不調を招きそうな一曲。それぞれの症状を思わすような直截な表現が続き、すっかり具合が悪くなる……というのはウソで、楽しく聴けた。ストレス性の症状が多そうなので、マレの「膀胱結石手術図」の神経衰弱バージョンを連想する。
●ファリャの「恋は魔術師」は通常の2管編成版ではなく、1915年版初稿の室内アンサンブル・バージョン。むしろこちらのほうが斬新に聞こえる。知らなかったのだが、この曲には大きな罠があって、初稿のほうは編成だけでなく、なんと、ストーリーまでぜんぜん違っている。テーマはフラれた女の情念か。歌は林美智子さんが歌い、ナレーションは太田真紀さんが担当するという形態。ナレーションのおかげで、どんな話なのかようやく知った。台本のテキストが欲しくなる。「恋は魔術師」って、この邦題だけだと萌え絵のついたライトノベルとかラブコメみたいなものを想像するが(しないか)、本当は怖い話だった。
●公演終了後、夜になっても若干ダイヤは乱れていたものの、おおむねスムーズに帰京。のぞみなのに車内にWi-Fiがないなあと思ったら、ぜんぶにあるわけではないみたい。

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