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August 3, 2015

北朝鮮vsニッポン@東アジアカップ2015

北朝鮮●東アジアカップ2015が開幕。開催地は中国。初戦はどうもここのところ分が悪い北朝鮮。ハリルホジッチ体制になったところで、ここらで実力差を見せつけておきたいところ……と思っていたら、逆転負けしてしまった。しかもあんな長身選手にロングボールを放りこむだけの形で2点も。がっくり。しかし、失点シーン以上に90分通しての内容が悪かったほうが問題。
●ニッポンはかなりフレッシュな陣容。日頃Jリーグを見ていないと、知らない選手だらけなのでは? フォーメーションは4-2-3-1の形。GK:西川-DF:遠藤航、槙野、森重、藤春-MF:谷口彰悟、山口蛍-永井謙佑(→浅野拓磨)、武藤雄樹、宇佐美(→柴崎)-FW:川又(→興梠)。
●前半3分、右サイドから遠藤航が低く鋭いクロスボールを入れ、走りこんだ武藤雄樹(今話題の武藤じゃないほうの武藤。レッズの武藤)がディフェンスと競りながらドンピシャで合わせて先制ゴール。どちらも初代表の選手で点を獲ったということで、これ以上はない立ち上がり。特に遠藤航。所属の湘南ではセンターバック、U22代表ではボランチの選手で、右サイドバックはやったことがないという選手。ハリルホジッチは大胆にも代表デビュー戦でこのポジションをやらせたわけで、この時点では策が的中した感があった。どうしてこうなるかといえば、Jリーグで3バックのチームが増えてきて、そうするとサイドバックというポジション自体がなくなる。でも代表はずっと4バックなので国内組だと「本職サイドバック」の対象者がそんなにいない、ということなんだろう。
●ピッチコンディションがよくわからなかったが、ニッポンも北朝鮮もよくボールを失う。前半から互いにチャンスを創出したというよりは、互いにミスからピンチを招きすぎた、という印象。ただ、どちらも決定機を生かせない。特に川又、永井が決定力の点で物足りない。川又はポストプレイもできていないし、簡単にボールを失いすぎで、まったく持ち味を発揮できず。北朝鮮はいつのものようにシンプルだが力強いサッカーで、11番のフォワード、チョン・イルグァンが脅威に感じた。
●後半、まず宇佐美を柴崎に交代。ここまでボールが足に付いているのは宇佐美くらい、という状況だったのだが、中盤の構成を変えるための戦術的な交代。続けていいところなしの川又を興梠に。3枚目のカードは終盤に永井を同じくスピードのある浅野に交代。しかし戦術面でも運動量の面でもハリルホジッチ采配はあまり効果的だった感じはない。
●一方、北朝鮮の采配は恐るべき効力を発揮した。後半21分に2メートルくらいあろうかという長身フォワードのパク・ヒョンイルを投入。まさにこれが無慈悲な鉄槌をニッポンに食らわせることになった。後半33分、北朝鮮は自陣から山なりのロングボールをニッポンのゴール前に。これをパク・ヒョンイルが森重に競り勝って頭で落としたところに、リ・ヒョクチョルが蹴りこんで同点ゴール。なんじゃそりゃ。さらには後半43分に左サイドから上がったクロスにまたもパク・ヒョンイルが槙野に競り勝って、ヘディングで逆転ゴール。もう戦術もへったくれもない。通常、パワープレイに対してはボールの出どころにプレッシャーをかけるなどの対応が求められるわけだが、1点目なんて自陣から山なりで蹴りこんでる。競り負けた森重と槙野にもがっかりだが、こんな攻撃を通用させてしまったということが、サッカーの神様に対して申しわけない。
●暑かったようだが、アジアの戦いでは珍しいことに後半途中からニッポンが走り負けていた。シーズン真っ最中のJリーグ勢で戦っているのに、フィジカル・コンディションで負けてしまうとは。北朝鮮はこの試合のために相当入念なトレーニングを積んできているとしか。北朝鮮 2-1 ニッポンで完敗。
●韓国、中国とさらに難敵が続くが、このまま低調な試合内容が続くと、代表の問題というよりJリーグの選手たちのクォリティが疑われかねない。この大会で本当に問われているのはハリルホジッチでもニッポン代表でもなく、Jリーグの質なんじゃないかという気すらする。