●一時期に特定の作品の演奏が集中するとか、別のオーケストラで演奏曲目が重なるということはよくあって、その主たる原因は「偶然」で説明が付くと思うのだが(乱数列を人間の目で見ると案外とパターンや重複が目についてしまうのと同じように)、それにしても9月11日のコンサート・カレンダーを見たときは一瞬目を疑った。この日の読響はカンブルラン指揮で、ムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」(原典版)、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(小曽根真)、ムソルグスキー(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」。一方、東フィルはバッティストーニの指揮でヴェルディの「運命の力」序曲、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(反田恭平)、ムソルグスキー(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」。
●一曲目こそ違うが、「パガニーニの主題による狂詩曲」と「展覧会の絵」がそっくりかぶっている。どうせなら一曲目も同じだったらもっとおもしろかったのだが、さすがにそれはないか。カンブルランの「はげ山の一夜」(原典版)は、ムソルグスキーのオリジナルと、ラヴェル化されたムソルグスキーを対比する納得の選曲。バッティストーニの「運命の力」序曲は一見、なんで?と思うが、マリインスキー劇場で初演されたオペラということで、変則ロシア・プロになっているっぽい。
August 17, 2015