●初戦でシンガポール相手にまさかの引分けに終わってしまったハリルホジッチのニッポン代表。続いてはホームでのカンボジア戦。これまでだったらどう考えても楽に勝てる相手で、むしろこの相手が2次予選でいいの?的なカードであるが、現にシンガポールに引き分けてしまっているわけで、「内容はともかく、勝点3を」と、あたかも最終予選に臨むかのような気分で試合を見た。
●そしたら、ホントに「内容はともかく、勝点3を」得たという試合だった。3対0。これはどう見ても5対0くらいで勝つべき試合じゃないか……という物足りなさは残る。メンバーはGK:西川-DF:酒井宏樹、吉田、森重、長友-MF:山口、長谷部-香川-FW:本田(→原口元気)、武藤(→宇佐美)、岡崎(→興梠)。90分を通して、カンボジアはチャンスどころか攻撃の機会そのものがほとんどなかった。ずっとニッポンが攻めて、カンボジアがゴール前に人を固めて守る。カンボジアがゴール前でボールを跳ね返すと、それをニッポンが拾ってまた攻める。ここまで極端に一方的なゲームはなかなかない。
●しかし、最初のゴールが生まれるまでが長かった。これだけゴール前に人がいたら、ディフェンスを崩しようがない。こういう相手に対抗するセオリーとしてはミドルシュートの有効性があるわけだが、まさにその通りの展開で前半28分に本田のミドル、後半5分の吉田のミドルが決まった。吉田のシュートは完璧。センターバックのミドルが決まるのはニッポン代表ではあまり記憶にない場面だが、ハリルホジッチの要求に沿ったプレイだった模様。後半16分には岡崎のシュートのこぼれ球を香川が蹴りこんでゴール。香川は前半終盤にただ触れば入るようなゴールを外していてなにかの呪いかと思った。あれは外すほうが難しい。後半の序盤で、ハリルホジッチは香川をサイドに出し、代わって武藤を高い位置に上げて岡崎との2トップに。このチームには控え選手を含めても屈強な長身FWタイプがひとりもいないので、策も限られている。
●で、こういう相手、かつてのニッポン代表だったら(トルシエ時代とか、もっと前の時代とか)7対0とか8対0で勝っていたと思うんすよ。でも最近だとなかなかそんなスコアは見られない。ニッポン代表選手のクォリティはあがっているんだけど、対戦相手のレベルの下限がそれ以上にあがっている感じ。アジアのこれくらいのランクの国って、以前は後半途中から足が止まって運動量の面でもメンタルの面でもほとんど無抵抗になりかけていたもの。でもカンボジアは本当に集中してよく守っていた。1点取られたら攻めるんじゃなくて、取られても守り続けた。どこまで耐えられるかをテストするかのように。最後まで規律を持って走りぬいたのは立派。
September 4, 2015