●4日は山田和樹指揮日本フィルへ(サントリーホール)。ミヨーのバレエ音楽「世界の創造」、ベートーヴェンの交響曲第1番、イベールのアルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(独奏は上野耕平)、別宮貞雄の交響曲第1番という凝ったプログラム。日本フィル・シリーズ再演企画第9弾として演奏された別宮作品を軸に、別宮が師事したミヨー、同時代のフランス音楽からイベール、別宮貞雄が敬愛したベートーヴェンから同じ交響曲第1番といったように各曲が有機的に関連付けられている。
●あまり聴けない曲をたくさん聴けるなあ!と思って聴きに行ったら、いちばんのサプライズはむしろベートーヴェンだったというまさかの展開。管は倍管、弦楽器は16型かな? 近年交響曲第1番でこれだけ大編成の演奏を聴く機会はないのでは(ノリントン&N響も倍管を好んで採用していたけど、第1番ではやってないと思う)。しかも編成が大きいだけではなく、随所に思い切りのよいデフォルメがあって、なるほど、これは他の演目の作曲年と合わせたものか、20世紀の往年の巨匠風の演奏スタイルを志したものなのだと納得。第2楽章冒頭の弦楽器をソロで演奏させるというのはなにか元ネタがあるのだろうか。いきなり首席第2ヴァイオリン奏者たったひとりで第2楽章がはじまって、背筋がゾクッとする。倍管で演奏される管楽器のパートにソロとトゥッティの対比が発生するのと同様の趣向が弦楽器にも採用されたともいえるか……。
●上野耕平独奏のイベールが鮮やか、軽快だけど豊麗。一曲目のミヨーからアンサンブルのなかに交じって登場。別宮作品は初めて。後期ロマン派風の入口から、アイロニーとロマンが混淆するフィナーレへ。
September 7, 2015