●3日はNHKホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮N響によるマーラーの交響曲第2番「復活」。2月定期の共演に続いて、新首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが登場、今回が就任記念公演ということになる。エリン・ウォールのソプラノ、リリ・パーシキヴィのアルト、東京音楽大学の合唱。普段のN響定期とは客席の空気から違っていて、張りつめた緊張感がずっと漂っていたと思う。第1楽章冒頭動機から非常に鋭くアグレッシブで、巨大な作品であるにもかかわらずきびきびとした機動性が前面に押し出されていた。しかも、NHKホールでこんなにも鳴らせるものなのかと思うほどパワフル。瞬発力も持続力も高い「復活」。強靭だが、汗臭くない。ブラス・セクションは強力。バンダの音が後方から聞こえてきて、いったいどこから鳴っているのかわからなかったのだが、2階のロビーだった模様。前方と後方に空間的な広がりをたっぷり感じる立体感がおもしろい。
●今年はマーラー「復活」イヤーでもあったのだが(なぜかたくさん演奏された)、最後に圧倒的なクォリティを持った演奏に出会った感。作品観の更新という点では、ハーディング&新日フィルも忘れがたいかな。この曲に対して壮大さ、スペクタクルを原動力としない頂点が作り出せるものなのかどうか、というのが目下気になるところ。
October 6, 2015