●インターナショナル・マッチ・ウィークに合わせて、先日はシリアとのワールドカップ予選が行われたわけだが、一週間あればもう一試合組むことができる。欧州はじめ各国リーグがお休みでベストメンバーを組めるという貴重な機会。普通ならここで国内で試合を開いて海外組勢揃いで集金マッチをするところだが、今回はわざわざアウェイでアジア最強順位のイランと親善試合を戦った。この強化優先の姿勢は立派。ちなみにイランの監督はケイロス。中東に招かれた大物監督というと、あれやこれやですぐに辞めて去っていくという印象があるが、2011年から紆余曲折ありつつも代表監督の座に居続けている。これは成功なのか、失敗なのか。いや、成功に決まってるんだけど……。
●で、ニッポンは当然メンバーを入れ替えてきたが、それでも先発メンバーに関しては勝負をかけた人選だったはず。中軸は外さない。GK:西川-DF:米倉、吉田、森重、酒井高徳(→丹羽)-MF:長谷部、柴崎(→柏木)-宇佐美(→原口)、香川(→清武)、本田(→岡崎)-FW:武藤(→南野)。
●前半はかなり押しこまれた感。芝は長めだっただろうか。イランはフィジカルで優位に立ち、球際が強い。五分のボールがことごとくイラン・ボールになるような印象があった。もっともイランもニッポンのディフェンスを崩してくるというよりは、しっかりと守備ブロックを形成しつつ、サイドからのクロスなどシンプルで力強いプレーで勝負してくる。前半ロスタイム、ニッポンのエリア内に持ち込んだトラビに対して、吉田が不必要なファウルで倒し、PKを献上。PKはいったん西川が止めたものの、リフレクションをトラビが押しこんでイランが先制。いちばん嫌な時間帯の失点。公式戦でなかったのがせめてもの救い。
●後半頭、見せ場の作れなかった香川に代えて清武投入。攻め手を欠いたニッポンだったが、後半3分、本田が右サイドからアーリー気味で鋭いクロスを入れると、中央の競り合いで武藤の背中あたりにボールが当たって、これが同点ゴールに。むしろイランがやっているような、ニッポンらしからぬプレイで点が入った。後半、徐々に相手の運動量が落ちてくると、ニッポンもボール回しができるようになってきた。途中でアズムンと清武が小競り合いになる場面があったが、両者フラストレーションがたまっているんだなという感じ。1対1のドローは妥当なところ。アウェイでイランに引き分けたのだから、これが公式戦なら万々歳だが、内容的にはニッポンの技術とスピードが相手のフィジカルの強さに屈した感があって、あまり喜べない。特に気になったのは、せっかく相手からボールを奪ってカウンターアタックのチャンスになったときに、プレーの精度を欠いてボールを失い、カウンターのカウンターを食らってしまうところ。相手のプレッシャーの強さゆえにミスが誘発されるのだと思うが、このあたりはチームの成熟度が高まればもう少しうまく対応できそうなもの。
●戦力の発掘という意味では微妙か。むしろ、アジアの戦いでは珍しいことに主審に好感を持った。ただ倒れれば笛を吹くみたいなことがなく、ホームの圧力にも屈せず、基準がぶれなかった。オマーンの人? 単にこの人が優秀なのか、親善試合だったらちゃんとした笛を吹いてもらえるのか、よくわからない。
October 15, 2015