●21日はトッパンホールでジュリアーノ・カルミニョーラのヴァイオリン。バロック・ヴァイオリンではなく、なんと、モダン・ヴァイオリン。ピアノは矢野泰世。モダン楽器なのでレパートリーの選択の幅が広がって、前半にストラヴィンスキーのイタリア組曲、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ ト長調 K379、後半にシュニトケの「古い様式による組曲」、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ イ長調K526。前後半ともモーツァルトの前に擬古的なスタイルで書かれた20世紀作品を置く、といった趣向になっている。
●とはいえ、どの曲でも闊達自在なカルミニョーラ節は健在。一瞬の鋭さとふわりとした脱力の両極を高速で往復するコントラストの鮮やかさ。たびたびフォルテで床をドンと踏み鳴らす効果音付き。すべてがチャーミングでカッコいい。お茶目ダンディ様式と名付けたい。カラッとしたピアノも圧倒的に吉。モーツァルトはこうであってほしいもの。
●ストラヴィンスキーのイタリア組曲が「擬古的」とすると、シュニトケの「古い様式による組曲」は「擬・擬古的」なんだと思う。パロディなんだかイミテーションなんだかよくわからない。普通っぽさを装ってるのか、普通なのか、笑えない冗談なのか、そもそも冗談ですらないのか。アンコールはモーツァルトのソナタから次々と都合4楽章分。満喫。
October 22, 2015