November 4, 2015

シベリウス生誕150年記念交響曲全曲演奏会/ハンヌ・リントゥ&フィンランド放送交響楽団

シベリウス●本来生誕「150」年なんていうキリの悪い数字でなにかが盛り上がるはずがない……と思っていたのだが、ちょうど100年とかちょうど200年にこれといった人がいないと消去法的に150年に光が当たってしまう場合がある、みたい。ドビュッシーのときもそうだったし、今年のシベリウスもそう。で、シベリウスは1865年12月8日生まれなんすよ。なので秋あたりからいろんなオケがシベリウスの交響曲を演奏してくれて、ハンヌ・リントゥ、オッコ・カム、オスモ・ヴァンスカといったフィンランドの名指揮者たちが続々と来日してシベリウスを指揮してくれるというお祭り状態に。まさか、こんなことになろうとは。
●で、すみだトリフォニーホールの企画で、ハンヌ・リントゥは新日本フィルの2公演とフィンランド放送交響楽団の1公演と合わせて3公演で交響曲全曲を指揮するという変則チクルス。新日本フィルのほうは聴けなかったのだが、第3回のフィンランド放送響(11月2日)のみ参戦。曲がいい。交響詩「タピオラ」、交響曲第7番、交響曲第5番。
●フィンランド放送響のクォリティの高さに瞠目。特に弦楽器のマットな質感はなんともいえない美しさ。こんなにすぐれたオーケストラだったとは。リントゥのダイナミックな指揮ぶりも好感度大。北欧情緒などという漠然としたローカリズムに寄りかかることなく、明瞭でスケールの大きなシベリウスを披露してくれて、スペクタクルもあり細部のニュアンスの豊かさもありで、充実。速めのテンポをとった交響曲第5番では、第1楽章コーダがスピード違反気味のスリリングな展開に。驀進するシベリウスってすばらしい。
●アンコールにシベリウスの「べルシャザール王の饗宴」から「ノクターン」と、「悲しきワルツ」。前者は冴え冴えとしたフルートのソロを聴かせる曲で、首席フルート奏者を務める小山裕幾さんのための選曲か。惜しいことに客席はかなり空席が目立っていたのだが、オーケストラが引き上げてからも拍手が鳴りやまず、しばらく経ってからリントゥが姿を見せてソロ・カーテンコールに。すでに着替えはじめていたところを呼び戻されたのだとか。

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