●25日は上野精養軒で「東京・春・音楽祭2016」プレス懇親会。来年の音楽祭の概要が案内された。写真は左から二木忠男上野観光連盟会長、鈴木幸一実行委員長、ドメニコ・ジョルジ駐日イタリア大使。来年は日本とイタリアの国交樹立150年なんだとか。リッカルド・ムーティの指揮で、ムーティが心血を注いで育てあげたというイタリアの若き精鋭たちによるルイージ・ケルビ-ニ・ジョヴァニーレ管弦楽団と、日本の若手奏者たちによる東京春祭特別オーケストラの合同公演で幕を開けることに。ムーティのビデオメッセージも上映された。
●恒例ワーグナー・シリーズは「指環」の続きで「ジークフリート」。ヤノフスキ指揮N響。ちなみにヤノフスキは来夏のバイロイト音楽祭で「指環」を指揮する。
●大型公演も魅力的だが、この音楽祭らしさをより感じるのは小ホールやミュージアムを舞台にした数々のシリーズか。タラ・エロート他の「歌曲シリーズ」、昨年に続く「24の前奏曲シリーズ」、上野一帯で開かれるミュージアム・コンサートなど、多彩なランナップが用意されている。
●鈴木幸一実行委員長による、これまでを振り返ってのお話が印象的だった。音楽業界の外からやってきて音楽祭を立ち上げてはみたものの、初期の頃、文化会館ががらがらで「こんなにお客が入らないのか」と驚いたこと、小澤征爾が「オテロ」をキャンセルした年にまるで選挙事務所のように電話が鳴り止まなくなって大変だったこと、苦労が多かったけどムーティに「最初からうまくいく音楽祭なんかひとつもない。出演者のほうがお客より多かったりするもの。音楽祭は続けることで音楽祭になる」といわれて励まされたこと……。特に思い出深い公演として挙げられたのは、震災の年にメータがやってきて指揮した「第九」。メータもお客さんも泣きながらの公演で、メータが「これまででもっとも記憶に残る第九になった」と語ってくれたという。
December 1, 2015