●今年から始まったJリーグの変則チャンピオンシップについては、ブタのようにぶーぶー文句を言い続けているわけだが、それはそれとして、先日のチャンピオンシップ準決勝については認めなければならない、伝説のゴールが生まれたということを。
●浦和対ガンバ大阪の一発勝負は見ごたえのある激しい好ゲームになった。熱い。熱すぎる。90分で決着がつかず延長戦へ。浦和は足をつる選手が続出。奇跡は118分に起きた。ガンバの丹羽が浦和の前線からのプレッシャーを受けて、ゴールキーパーへバックパス。ところがこれがなぜか浮いたボールになってしまい、前に出ていたキーパーの頭をふわりと越えてゴールマウスへ……。ああ! こんなつまらないオウンゴールで決着がついていいのか、白熱した試合なのに! と、だれもがその瞬間、思ったはず。
●ところがボールはギリギリのところでポストに当たって、跳ね返った。救われた……と安堵したところで、そのボールをキーパー東口が右サイドにパス、これを受けたオ・ジェソクが中央の遠藤へ、遠藤からパトリックへ、パトリックから右サイドの米倉へと流れるようにパスが回り、米倉は逆サイド大外に走りこんできた藤春へクロス、藤春は利き足ではない右足でボレー、これが浦和のゴールに鮮やかに突き刺さった。呆然。これが決勝点に。オウンゴール寸前のバックパスで虚を突いたところから発動する心理的カウンターアタック。こんなゴール、見たことない。伝説だ。だれがどう考えても、これは伝説。悪夢のようなプレイオフ制度が、伝説のゴールを生み出した。
●喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。あるいは笑うべきなのか。今夜、ガンバと広島による決勝第一戦。
December 2, 2015