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December 21, 2015

バッティストーニ指揮東フィルの「第九」

●18日は東京オペラシティでバッティストーニ指揮東フィルのベートーヴェン「第九」。「第九」って、「第九」の前になにを演奏するのがいいんすかね。「第九」だけっていうのが理想だと思うんだけど、それだと遅刻したときに悲惨だし、かといってベートーヴェンの短い序曲をやってすぐ休憩っていうのも、なんだか前置きが長い感じ。いっそ今日は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」公開日だから、ぱぁっと景気よく「スター・ウォーズ」メインタイトルがいいんじゃないのと思ったが、んなわけなくて、「レオノーレ」序曲第3番→休憩という流れ。メインの「第九」が60分を切るかもってくらいの超特急テンポだったので、たしかにこれは前半がないといくらなんでも短すぎるか。
●で、バッティストーニの「第九」はハラハラドキドキでかなり斬新だった。HIPな演奏だから速いっていうよりは、まったく独自の速さ。慣習的にタメが入る部分でもどんどんインテンポで先に進む気持ちよさ。でも、ところどころ思い切り歌わせるというオペラ風味もあって、ハイブリッド感満載。第4楽章、最初に「歓喜の歌」の主題が低弦に登場するところで、チェロよりもコントラバスを強調して弾かせていたのが印象的。地の底から湧きあがる感じというか。合唱は東京オペラシンガーズ。独唱陣ではテノールのアンドレアス・シャーガーが際立っていて、後で気づいたんだけど、この人、来年の東京・春・音楽祭の「ジークフリート」で題名役を歌うことになっているではないの。
●年末の「第九」をこれだけ新鮮な気分で聴けたというだけでも大収穫。会場は熱狂。