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January 6, 2016

ギルバート・キャプラン、逝く

●なんと、1月1日という日付で、ギルバート・キャプランの訃報が飛び込んできた。ギルバート・キャプランといえば、マーラー「復活」専門のアマチュア指揮者(以前にも記事を書いた)。どうしても「復活」を指揮したいという思いが高じて、指揮を猛勉強し、やがてロンドン交響楽団と録音を果たす。そればかりか、国際マーラー協会クリティカル・エディションの校訂にも携わり、それが縁でウィーン・フィルとの録音まで実現させてしまった。ここまで来ると、もう「アマチュア指揮者」なんて言ってられなくなる。
●キャプランには自身の行動力や情熱に加えて、資産があった。それも自分で作った会社を売って得た資産だ。1967年、26歳で創業した経済誌を、87年に(ニューヨーク・タイムズによれば)7,200万ドルで売却したのだとか。マーラーの「復活」を指揮することもスゴいが、よく考えてみると自分で作った会社を売って億万長者になるほうがもっと難しい。いったいそこまで価値の認められた経済誌ってのはどんなものだったんだろう。
●あと、資産家になってるのに、よくそれだけ指揮活動が続いたとも思う。フツー、少しでも飽きたりイヤになったりしたら、あとはもう指揮なんて辞めて日々贅沢三昧でぐうたらしようってなりそうなもの(←凡人の発想)。キャプランほどのバイタリティの持ち主にとって、きっと74年の生涯は短すぎたにちがいない。