●これに勝てばオリンピック出場権を勝ちとれるという準決勝は対イラク戦。さすがにベスト4まで勝ちあがってきたチームは強力な相手ばかり。前のイラン戦でも相手のフィジカルの強さに苦労したが、イラクは前線からの守備と組織の連動性をベースにしたモダンなサッカーと、フィジカル勝負の熱い肉弾戦と両方行けるハイブリッドなスタイルを持ったチーム。攻守の切り替えの速さや中盤でのパス回しはニッポンと比べても遜色ない感じ。
●で、注目のニッポンの先発。意外と替えてきた。なぜかセンターバックの岩波を下げて、奈良を投入。コンディション不良だった鈴木武蔵を復帰させ、久保との2トップ。中盤右サイドに南野を起用。前の試合で大活躍の中島は引き続き先発。GK:櫛引-DF:室屋、植田、奈良、山中-MF:遠藤航、原川、南野、中島(→豊川)-FW:久保(→浅野)、鈴木武蔵(→オナイウ阿道)。浅野を先発させるかとも思ったのだが、そうなるとあまりに高さが足りなくなるということか、やはり鈴木武蔵は外せない模様。
●序盤はタイトな展開で互いに好機が少なかったが、前半26分、相手のパスをカットした鈴木武蔵が左サイドを猛然と駆け上がり、ニアサイドに低いクロスを入れると、中に走りこんだ久保がボレーで合わせて先制ゴール。こういうのを見ると、スピードの点でも鈴木武蔵は不可欠だと納得。これでもう少し足元に確実性があれば……。選手たちは喜びを爆発させるが、この後がよくなかった。どこかこの1点を守るために受けに回ってしまったのか、ゲームの主導権はイラクへ。攻撃時も落ち着きを欠いてミスが多い。前半43分、イラクのコーナーキックに対して、ニアで守備に入っていた鈴木武蔵が頭で後ろにすらしてしまい、もうこれはどうしたってオウンゴールという形だが、櫛引が奇跡的に弾く。弾いたところにヘディングを打たれ、これもまた櫛引が跳ね返すが、さらにもう一度ヘディングでシュートされて失点。1対1に。イラクは理想的な時間帯に追いついた。
●後半、イラクは風下に立つ。風がかなり強かったようで、イラクはロングボールをニッポンのゴール前に入れ始めた。自陣からのフリーキックでも放り込んでくる。ゴール前でニッポンが必死にボールを跳ね返すものの、また拾われて波状攻撃を食らうという苦しい展開に。おまけに鈴木武蔵が足をつって、オナイウに交代。多くの時間帯でイラクがゲームを支配し、決定機も十分にあったはずだが、後半40分頃だろうか、イラクの運動量がガクッと落ちてきた。ロスタイムに入ってからイラクが3人目の交代をするという今一つ意図のわからない場面があり、時計の針が進んでこれはもう延長戦かという後半48分、右サイドから南野が落ち着いて相手をかわしてクロスを入れると、相手キーパーがパンチングで弾き、こぼれたところに原川が鮮やかなミドルを叩き込んで2対1。そこからニッポンは最後の交代枠を使って中島を豊川と代えてタイムアップ。イラン戦に続いて、今回も走り勝った感あり。
●この年代は下のカテゴリーでもずっと世界大会への出場権を獲得できていなかったが、U23でようやくアジアの壁を突破できることになった。以前のニッポンはユース以下が強い印象があったけど、最近は逆なんすよね。ドーハで、イラクを相手に戦って、ロスタイムでコーナーキックから得点して勝利。ようやく「ドーハの悲劇」の厄払いができたのかも。
January 27, 2016