●16日はトッパンホールでティル・フェルナーのリサイタル。シューマンの「蝶々」、ベリオの「5つの変奏曲」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第13番「幻想曲風ソナタ」、休憩をはさんでシューマンの「幻想曲」。プログラムのテーマとしてはまずはファンタジー、そして変奏曲がベリオからベートーヴェンを滑らかにつなぐ架け橋となっている。シューマンの幻想曲では、流麗ともきらびやかとも言いがたい質朴とした音色を最大限に生かした真摯な音楽が紡ぎだされた。思いのほかマッチョな演奏で、第2楽章はまさに「どこまでもエネルギッシュに」。続く深々とした第3楽章を聴いて、ほとんどブルックナーの交響曲を聴いたかのような充足感に浸る。アンコールはシューマンの「謝肉祭」より「オイゼビウス」。
●「シューマン・プロジェクトI」と題されているのは、テノールのマーク・パドモアとの共演でIIが続くから。ワタシは行けないんだけどこちらは18日開催で、シューマンの「幻想曲」で引用されているベートーヴェンの連作歌曲「遥かなる恋人に寄す」や、シューマン「詩人の恋」他が演奏されるという道筋が用意されている。
February 17, 2016