●23日はトッパンホールでラモン・オルテガ・ケロのオーボエ・リサイタル。前半はシューマンで、アダージョとアレグロ、3つのロマンス、オーボエ・ソナタ第1番(原曲はヴァイオリン・ソナタ第1番)。後半はラヴェル(C.シュミット編)の組曲「クープランの墓」、パスクッリのドニゼッティ/歌劇「ポリュート」の主題による幻想曲。ピアノは島田彩乃。前半はじっくりとシリアス・モードでシューマンを聴き、後半はオーボエの名技性を存分に楽しめるという好プログラム。
●シューマンのエッセンスが詰まったような、アダージョとアレグロ、3つのロマンスの2曲は王道として、ヴァイオリン・ソナタ第1番をオーボエで演奏するという手があったとは。原曲にある鬱屈した情熱とか焦燥感みたいなものとオーボエの音色は遠いような気もしたのだが、こうしてケロのみずみずしい音色で聴くと、また違った魅力がクローズアップされてくる。原曲よりずっとのびやかな音楽に聞こえてくる。
●ラヴェルの組曲「クープランの墓」をオーボエ用に編曲するというのは発明だと思う。ラヴェル本人編曲の管弦楽版におけるオーボエの活躍ぶりから逆算して生まれたアイディアというか。6曲ぜんぶあり。編曲者はフランスのオーボエ奏者のクリスティアン・シュミットという人なのだとか。最後のパスクッリはこれぞヴィルトゥオジティという華やかな技巧を聴かせるための作品で、鮮やかに吹き切った。縦横無尽。アンコールはラヴェルの「ハバネラ形式の小品」。このオーボエ・バージョンも異国情緒大盛りといった感で吉。
February 24, 2016