March 1, 2016

山田和樹&日フィルのマーラー5番

●27日はオーチャードホールの山田和樹マーラー・ツィクルスへ。プログラムは武満徹の「ア・ストリング・アラウンド・オータム」(ヴィオラ:赤坂智子)とマーラーの交響曲第5番。マーラーを番号順に3曲ずつ3年をかけて演奏するというツィクルスが進行中で、今年はその第2期。常に武満作品もあわせて演奏されるので、マーラー・ツィクルスでもあると同時に裏武満ツィクルスにもなっている。人の目に映る秋の景色から自然を仰ぎ見るような繊細な武満作品と、世界を俯瞰して自然も人間もすべてを描き切ろうとする巨視的なマーラー作品の対比におもしろさを感じる。
●マーラーの交響曲第5番は遅めのテンポでじっくりと進められ、第4楽章アダージェットに至っては、ほとんど止まりそうになるほど。アダージェットはヴィブラートを抑制気味で耽美一辺倒ではない美しさ。終楽章は力強いフィナーレが築かれ、客席からは盛大なブラボーが寄せられた。アイディア豊富な一方で正直なところ消化不良というか粗削りな感も否めなかったのだが、攻めたマーラーであることはたしか。できることならもう一度聴いてみたいもの。マイクがたくさん立っていたので、レコーディングされている模様。
●次回は3月26日に武満「ノスタルジア」+マーラーの交響曲第6番「悲劇的」という組合せ。

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