●2日はトッパンホールでアレクサンドル・タローのバッハ「ゴルトベルク変奏曲」。これ一曲のみのプログラムで、モダンピアノの機能性を十全に発揮させた眉目秀麗なバッハ。ペダルもフル活用して、ダイナミクスの幅もしっかり取って、変奏ごとに多彩な表情を次々と繰り出してくる。フレーズを大きくとってゆるやかにクレッシェンドしてゆくようなしなやかな歌いまわしだとか、意表を突いた声部の強調だとか、インスピレーションに富んだ自在の演奏で、体感的にも実測的にもあっという間に終わった。譜面、譜めくり、あり。
●演奏時間は長くも短くもなりうる曲だけど、リリースされたばかりの録音でもCD1枚に収まってるわけだし、でもはたしてこの曲の後にアンコールを弾くかな?と思っていたら、スカルラッティのソナタ ニ短調 K9を弾いてくれた。
●タローって1968年生まれだっていうんだけど、ずいぶん若々しい。ビバ痩身。前にラ・フォル・ジュルネでマリー=カトリーヌ・ジローが来日したときに、フランス・ピアノ界にはタローさんジローさんがいるっていう話になって、じゃあサブローさんはいないのかと考えたのだが、サッカー選手のシモン・サブローサしか思いつかなかった。シモン・サブローサん。ポルトガル人だけど。
March 3, 2016