●4日は日本フィル記者会見へ(サントリーホール リハーサルルーム)。平井理事長のみが登壇で、アーティストがだれもいないという珍しい形の記者会見にもかかわらず盛況だった。最初の話題はいきなり経営状況について。年間13億円というオーケストラの収入の内訳が円グラフで示される。事業収入が7割、法人・個人からの寄付が合わせて2割弱。補助金は国からの1億円のみ。当欄では細々とした数字は挙げないが、自治体や放送局などの母体を持たない自主団体として楽団を運営することの大変さが伝わってくる。年度ごとの損益の変化も示されていた。なお、10年間にわたる債務超過はすでに2012年度に解消されている。今後の経営目標として、芸術性と社会性をともに追求していくこと、財政強化と処遇改善の2点が挙げられていた。楽団が黒字になるか赤字になるかは、ほんのわずかな違いで変わってくる、紙一重なのだ、という話が特に印象に残った。
●指揮者陣について。すでに発表されているとおり、今後はピエタリ・インキネンが首席指揮者を務める。ラザレフは桂冠指揮者兼芸術顧問へ。両者とも来日回数が多少増減するだけなので、あまり変わったという印象はない。新しいニュースとしては、正指揮者の山田和樹と2022年8月まで契約を長期延長したこと。2012年の就任なので計10年にわたる関係が築かれることになる。これは朗報。心強いというか。
●60周年記念事業としてそれぞれの指揮者陣の公演がいくつか。ごく一部のみを挙げると、インキネン就任披露は9月27日にワーグナーの「ジークフリート」「神々の黄昏」抜粋をサイモン・オニールとリーゼ・リンドストロームを迎えて。また2017年5月には「ラインの黄金」全曲(演奏会形式)も予定される。山田和樹は藤原歌劇団の「カルメン」を指揮。日フィルがピットに入るのは20年ぶりだとか。
March 4, 2016