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March 17, 2016

東京・春・音楽祭2016開幕~ムーティ&日伊国交樹立150周年記念オーケストラ

東京春祭2016●今年も東京・春・音楽祭が開幕。これから約一か月にわたって上野のコンサートホールや美術館、博物館の文化施設等を会場に多彩な公演が開催される。
●開幕を祝うのはリッカルド・ムーティ指揮日伊国交樹立150周年記念オーケストラで、これはムーティが10年以上にわたって育ててきたイタリアの若手奏者たちによるルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管弦楽団と、日本の若手トップ奏者たちとが一緒になった特別編成のオーケストラ。昨日16日と本日夜(こちらは池袋の芸劇)の2公演。バスにイルダール・アブドラザコフ、合唱は東京オペラシンガーズ、東京少年少女合唱隊。
●前半はヴェルディの「ナブッコ」序曲、同第1幕より「祭りの晴着がもみくちゃに」、「アッティラ」第1幕 よりアッティラのアリアとカバレッタ「ローマの前で私の魂が~あの境界の向こうで」、「運命の力」序曲など、ヴェルディのオペラから。こういう臨時編成のオーケストラでもムーティが振るとはっきりとムーティのサウンドになる。指揮者の一挙一動にオーケストラが鋭敏に反応するのがすごい。彩度の高さとしなやかさを兼ね備えた輝かしいサウンド、切れ込みの鋭さと情感の豊かさは、まさにムーティ。指揮のマジックを目の当たりにした思い。
●後半はボーイトの「メフィストーフェレ」プロローグ。実演で初めて聴いたけど、こんなに豪壮なスペクタクルだったとは。合唱、児童合唱、金管のバンダ、オルガンなども加わって、壮麗な音の饗宴。ボーイトといえば作曲家でありながらヴェルディの台本作家として歴史に名を残した人という感もあるが、こんな強烈な作品を作曲する力量を持っていながら、よく台本作家を務められたものだと思う。ほんのわずかに運命が違っていたらイタリア・オペラに別の歴史をもたらしたのかも。
●会場内では日伊国交樹立150周年を記念したリッカルド・ムーティの記念切手が発売されていて、飛ぶように売れていた。演奏前にこの記念切手の贈呈式や、イタリア文化財文化活動省副大臣と文化庁長官の挨拶などセレモニーがあった。少々長い挨拶を受けてムーティが「今日の主役は音楽なのだが、ほんの二言だけ」と簡潔なメッセージ。「政治家は言葉を使います。言葉は混乱を招いたり、裏切ったりもする。しかし音楽は絶対に裏切りません」。カッコよすぎじゃない?