●22日はインキネン指揮日フィルへ(サントリーホール)。ブリテンのヴァイオリン協奏曲(庄司紗矢香)とホルストの組曲「惑星」という、イギリス音楽プロといえばイギリス音楽プロ。ブリテン作品を聴けるのがありがたし。ヴァイオリン協奏曲は1939年、25歳で書かれた作品。この曲、自分の感じるところではブリテン度が薄いというか、ブリテンにしては少し乾いている。そこが魅力。鮮やかなソロに息をのむ。アンコールにスペイン内戦時軍歌「アヴィレスへの道」。
●「惑星」は、スペクタクルを追い求めず、むしろ端然として澄んだ演奏で、この曲が天文学的壮大さではなく占星術的な世界観に依拠することを思い出させてくれる。CM等でさんざん消費されているはずの「木星」中間部を聴いて、ぐっとくる。「海王星」おしまいの消えゆく女声合唱はP席上方の扉の向こうから。やがて扉が閉められ、(たぶん)合唱が移動して遠ざかりながらの念入りなディミヌエンド。もう終わらないんじゃないかと心配になった。そのままカイパーベルトまでずっと旅するんじゃないかっていうくらい。
●平日夜公演だったが、終演後に「アフタートーク」があって、インキネンが登場してソロでトーク。庄司紗矢香さんとは20年来の知り合いだそうで、ともにケルンにてザハール・ブロン門下でヴァイオリンを学んだ間柄なんだとか。「その頃はまだ庄司さんは14~15歳だったと思うが、すでにすぐれたヴァイオリニストだと思っていた、その後、自分はシベリウス・アカデミーで指揮を学び、ヘルシンキ・フィルで庄司さんと共演する機会があった。今回ついに東京での共演が実現できてうれしい」。今回の演奏会が首席客演指揮者としての最後の登場で、これからは首席指揮者として日フィルを率いる。
April 25, 2016