●10日はザ・キャピトルホテル東急で、来日したベルリン・フィルの記者会見。サイモン・ラトルとインテンダントのマルティン・ホフマン(写真左)をはじめ、ベルリン・フィル・メディアのローベルト・ツィンマーマン他の各氏が登壇。
●今回のベートーヴェン交響曲ツィクルスについて。ラトル「子供の頃に親が買ってくれた本に、『指揮者とはとても単純な人間である。彼らはワーグナーの『指環』全曲とベートーヴェンの交響曲全集を作りたがる』と書いてあった(笑)。ベートーヴェンの交響曲はすべての音楽家たちにとって中心的な存在であり、全曲ツィクルスはどんな指揮者とオーケストラにとっても大切なもの。ベートーヴェンの交響曲を演奏することは究極の旅だと思う。やっと山頂に着いたと思った頃に、もっと高くまで山が続いていることに気づく。終わりがない。サミュエル・ベケットの言葉を借りましょう。『やってみたら失敗した。構わない、もう一度やればいい。今度はもっとうまく失敗できる』。私はその単純な人間として、ベートーヴェンの交響曲全曲に取り組む。今回の試みが忘れられないものになることを願っている。そしてツィクルスの最終ステージを、すばらしいホールがあり、すばらしい聴衆がいる東京で迎えることができて心から喜んでいる」
●また、自主レーベルからパッケージで発売されている「ベートーヴェン/交響曲全集」や、デジタル・コンサート・ホールについての案内もあった。「ベートーヴェン/交響曲全集」はこれまでの同レーベルの商品と同様、Blu-ray AudioとBlu-ray Video、CD、ハイレゾ音源のダウンロード・コード他がセットになったもので、ボーナス映像としてドキュメンタリー 「ベートーヴェンと生きる」 (2015年ベルリンでのベートーヴェン・ツィクルスの舞台裏) とインタビュー 「ラトル、ベートーヴェンの交響曲を語る」が付いてくる。美しいパッケージで所有する喜びを追求しているのも同様。
●会見の後、取材陣は二手に分かれることになり、希望によりベルリン・フィル団員によるアウトリーチ活動の取材に向かうか(NHKのニュースはこちら)、全集のボーナス映像にあるドキュメンタリー「ベートーヴェンと生きる」を見るかを選択することに。アウトリーチまで取材する時間的余裕はなかったので、ドキュメンタリーを見せてもらう。ラトルや楽団員のコメント、断片的なリハーサル映像など、なかなかおもしろい。ディテールへのこだわりに感嘆する。
May 11, 2016