●たまたま書店で「深夜プラス1」の新訳版(ギャビン・ライアル著/鈴木恵訳/ハヤカワ文庫NV)が出ているのを見かけてゲット。冒険小説の古典的名作。たしか大昔に読んだよなあ……と読みはじめてみたが、あれれ、これなんだか記憶にないぞ。もしかして別の本と勘違いしていたのか、記憶がごっそり蒸発しているのか。でも素直に読む。時代は感じさせるけど、実にカッコよく、味わい深い。
●登場人物で、主人公とコンビを組むガンマンの名前が「ハーヴィー・ラヴェル」。広く親しまれている旧訳では「ハーヴェイ・ロヴェル」と、姓も名も違っている(熟慮の末にそうなったんだとは思う)。欧州屈指のガンマンで、腕は確かだが、アル中で、内面に強さと優しさを同居させる男。本来、読みながらイメージすべきは次元大介みたいな人物像だと思うが、なにせフランスの話で「ラヴェル」といわれたら嫌でも頭のなかには「ボレロ」の作曲家が浮かんでくる。小男で虚弱そうなんだけど機械好きで凝り性な……みたいにハーヴィー・ラヴェルなんだかモーリス・ラヴェルなんだかわからない男のイメージから逃れられなくなってしまった。
●読み終えてから、どうしても気になって、ハーヴィー・ラヴェルの綴りをググってみたら、Harvey Lovell。まあ、旧訳がロヴェルだったっていうんだから、Ravelのわけはない。そいつはわかっちゃいるんだけど。
May 18, 2016