●20日はNHKホールでネーメ・ヤルヴィ指揮N響。先日、都響で聴いたクリスチャンに続いて、パパ・ヤルヴィ。カリンニコフの交響曲第1番とベートーヴェンの交響曲第6番「田園」というプログラム。カリンニコフは一部で熱烈なファンのいる曲だけど、自分にとってはなじみが薄く、実演で聴ける機会は貴重。第1楽章冒頭から民謡風のひなびた主題があらわれ、ベートーヴェンの「田園」と組み合わされるのも納得。全体の曲調としては、チャイコフスキーの前半の交響曲(第1番~第3番)の作風の後継者とでもいうか。この屈託のない伸びやかさは、闘病中の苦難の作曲家の筆によるものとはとても思えない。ネーメならではの豪快な鳴りっぷりも吉。カーテンコールで客席からかかったブラボーに対して、立ち止まって片耳に手をあてるネーメ。「えっ、もっと言ってよ」というポーズ?
●後半の「田園」は20世紀後半スタイルの豊麗でゴージャスなベートーヴェン。ゆったりと念を押すように奏でられる第1楽章冒頭主題。第2楽章での小川のせせらぎや鳥たちの鳴き声など、くっきりと強弱をつけて遠近感を表現していたのが印象的だった。第3楽章のダンスはひときわのどかで田舎風。やはりカーテンコールで両耳に手を当てて喝采を求めていたが、客席の反応も上々だったのでは。
●LFJ「ナチュール 自然と音楽」の勝手続編にもなってたような気も。「田園」の曲目解説を読んで「そうそう、クネヒトの自然の音楽的描写、この前聴いたよなー」と懐かしみつつ。
May 23, 2016