●2日はサントリーホールでユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルグ・フィル。ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」一曲のみという潔いプログラム。この一週間は偶発的にできたロシア音楽強化週間でネーメ・ヤルヴィ&N響、ウルバンスキ&東響、カラビッツ&読響ときて、掉尾を飾るのがサンクトペテルブルグ・フィル。すさまじい「レニングラード」だった。オーケストラの響きは鋼のように強靭ではあるが、思った以上に洗練された響きでもあり。これはこれでベルリン・フィルともウィーン・フィルとも北米のオーケストラとも異なる別の体系に基づく、最高度に究められたサウンドなのだと思う。戦争交響曲でありパロディ交響曲でもある多義性を内包する作品だが、シリアスな要素が前面に打ち出されていた感。バージョンアップされた交響曲第5番、というと語弊があるか。終演後は盛大なブラボー、そしてテミルカーノフのソロ・カーテンコール。NHKの収録あり。
●弦楽器は今やすっかりおなじみの対向配置で、コントラバスは下手側。いちばん上手にトランペットが陣取るのが独特。少しおかしかったのは第2ヴァイオリンの各プルトとも楽譜をめくってもめくってもめくり返されてしまうという風のいたずら(?)。いったん弓で抑えても、弾いているうちにまたフワーっとめくり返されてしまう。応対の仕方が人それぞれ。
●帰宅した夜、ヤニック・ネゼ=セガンがジェイムズ・レヴァインの後を継いでメトロポリタン・オペラの音楽監督に就任するというニュースが入った。就任は2020年より(そんな先のことがどんどん決まっていく)。さらにフィラデルフィア管弦楽団音楽監督の任期を2025/26年シーズンまで延長することも発表されたのだが、そのネゼ=セガンは今まさにフィラデルフィア管弦楽団と来日中で、この日は大阪で公演があった。そんな大きなニュースをわざわざツアーで日本にいるときに発表するの?とも思うわけだが、そこはMET。公式サイトでライブストリーミングで中継が始まってピーター・ゲルブらが登場し、大阪のネゼ=セガンと話しているではないの。ニューヨーク・タイムズをはじめ、各メディアとも一斉に記事を掲載(朝日新聞は大阪で取材)。で、本日夜は東京でフィラデルフィア管弦楽団の公演が開かれる。ニュースってのはこうやって発信するものなのかと、感心するばかり。
June 3, 2016