●4年に1度のサッカー欧州選手権 UERO2016 が開幕。今年の開催国はフランス。次回より複数国での分散開催が決まっているので、一か国で開催される大会としては当面最後のEUROということになる。そして、今回から出場国が24か国に増えた(前回までは16か国)。なにしろ「ヨーロッパ」に属する国の数が一昔前よりずっと多くなっているので、これはわかる。とはいえ24か国というと、かつてのワールドカップと同じ規模。グループリーグ4か国のうち、上位2チームと好成績の3位チームが決勝トーナメントに進出できるという方式が、なんだか懐かしい。
●で、開幕戦は地元フランスvsルーマニア。当然のことながら、日程は開催国に有利なように組まれている。決勝戦の日付は全チームにとって同じだが、開幕試合はチームごとに違うわけで、先にスタートしたほうが休息日が増えるのは必然。初日はこの一試合だけが行なわれるという厚遇ぶり。これですっかりかませ犬みたいに思われているルーマニアがフランス相手に一泡吹かせればおもしろいことになるのだが……。
●フランスは醜聞の影響でベンゼマを招集せず。前線にはグリーズマン、ジルー、パイエ。中盤にはレスター優勝の立役者となったカンテ、ポグバ、マトゥイディ。もうひとつ派手さには欠けるものの、ルーマニアと比べれば個々の選手の力で優位に立つ。で、ルーマニアは引いて守るかと思えば、開催国相手に一歩も引かずに堂々とわたりあった。布陣は互いに4-3-3。序盤の最初の決定機でルーマニアが先制していてもおかしくなかったのだが、57分にジルーのゴールでフランスが先制。65分にPKでルーマニアが同点に追いつく。キーパーのファインセーブもあり、どちらが決勝点を奪ってもおかしくない展開が続くなか、ようやく89分にペナルティエリア外からパイエが豪快なミドルシュートを決め(これはスゴすぎ)、最後は個の力でフランスが勝利。やはり開幕戦のプレッシャーはあったのか、あるいはルーマニアに予想外の地力があったのか。フランスはドローでもおかしくない試合に勝ててしまったというのが率直な印象。フランス 2-1 ルーマニア。
●大会二日目で注目したのはダークホース同士の戦いで、ウェールズvsスロヴァキア。今まで国際大会で注目されることのなかったウェールズだが、昨年一瞬だけどFIFAランキングでイングランドを上回ってトップ10入りの快挙。ベイルやラムジーがいて、顔ぶれは地味ではない。しかしスロヴァキアにもハムシクがいる。お互いにチャレンジャーの立場らしく、オープンかつ激しく戦う見ごたえのある好ゲームだった。前半10分、鮮やかなベイルのフリーキック。スーパースターの貫禄。後半にスロヴァキアが追いつくも、81分、ゴール前にラムジーがバランスを崩しながらも侵入してパスを出し、これを受けたロブソン=カヌがボールをかすめる当たり損ねのようなシュートで決勝ゴール。ウェールズ 2-1 スロヴァキア。この組はほかにイングランドとロシアが同居しているのだが、激戦区になることは必至。特にウェールズ対イングランドが熱そう。
●中継で選手の所属クラブを見ていて気がついたんだけど、ルーマニアとかスロヴァキアの場合は、「海外組」にも西欧のリーグで活躍する選手のほかに、東欧や、さらには中東のクラブに所属する選手もいる。カタールのクラブでプレイしてたりとか。これってサッカー地理的にいえば「アジア組」の選手なんすよね。EURO出場選手の「アジア組」ベストイレブンとか組めないものだろうか。
June 13, 2016