●11日は東京オペラシティで鈴木雅明指揮東京交響楽団。モーツァルトの「魔笛」序曲、交響曲第41番「ジュピター」、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」というプログラム。鈴木雅明さんはモダンオケもたくさん指揮しているので驚きではないにせよ、東響との共演は新鮮。前半のモーツァルトはトランペットがピリオド仕様で、弦のヴィブラートも抑制。弦楽器の並びは通常配置。東響はスダーンとともにたびたびピリオド・スタイルのモーツァルトを聴かせてくれたが、じゃあこのコンビだとさらにピリオド全開になるかというとそうはならないのがおもしろいところ。むしろいつになく重々しい響きが東響から出てくる。予想外に力感あふれるモーツァルトで、熱い。リピートしてもテンションを下げることなく輝かしいフィナーレへと驀進する「ジュピター」。
●「オルガン付き」の独奏者は鈴木優人さんで、父子共演が実現。いや、BCJでは年がら年中父子共演しているわけだが……。しかし指揮台とオルガニスト席とで上下に親子がそろう図というのがまぶしすぎる。編成を増していっそう音楽は熱を帯び、壮大なスペクタクルがくりひろげられた。サン=サーンスの交響曲第3番はフランス版「運命交響曲」だと思っているんだけど、この重厚さとカロリーの高さはまさしく。
●今、頭のなかがすっかりEURO2016脳と化しているので、この日のプログラムにオーストリアvsフランス戦を幻視する。両者の激しいバトルは、オーストリアが持ち味を発揮するもフランスがパワープレイで押し切った感。
June 14, 2016