●15日はクァルテット・エクセルシオのベートーヴェン・サイクルIV(サントリーホール・ブルーローズ)。恒例、サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデンでのベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲シリーズだが、今年初めて日本のクァルテットが登場することに。この日は弦楽四重奏曲第1番op.18-1、弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」、弦楽四重奏曲第14番op.131という初期、中期、後期から一曲ずつが配されたプログラム。ボリュームたっぷり。
●練りあげられたベートーヴェンを聴いたという充実感。特に「ラズモフスキー第3番」での一体感、終楽章での高揚と白熱を存分に満喫。十分に起伏に富んでいるのだが、極端ではない。これまでの印象から、ついこのシリーズにはクレイジーなくらいの強烈でパワフルなベートーヴェンを期待してしまう気分もあるのだが。第1番と「ラズモフスキー第3番」ですでにお腹いっぱいになってしまい、これで終わってもおかしくないくらいだったが(休憩中、隣の大ホールからメインプロである辻井伸行のベートーヴェン「皇帝」が聞こえてきた。交錯するベートーヴェン)、さらに後半に第14番。延長PK戦まで戦い抜いた感。長さだけではなく、内容的にも交響曲を3曲聴くのと変わらない。
●ベートーヴェンの全弦楽四重奏曲をどう割り振るかっていうのは、まるでパズルみたい。全5公演だとop.18をどこかで2曲以上入れなきゃいけないのが難しい。かといって全6公演に割り振ると、メインプロに置きたい後期の曲が一曲足りなくなる。そして「大フーガ」はワイルドカードとしていろんなパターンで使用可能。5公演での多牌感と6公演での少牌感が多様性を生み出している。
June 15, 2016