●今大会随一のタレント軍団といっていいのがベルギー代表。アザール、デ・ブルイネ、クルトワを筆頭に、ナインゴラン、ルカク、カラスコ、メルテンス……。フェライニは主にベンチ。個の能力でいえばドイツと並ぶ二強か。特にアザールはシーズン中の不調がウソのようにキレッキレ。しかし、惜しむらくは組織プレイの弱さ。グループステージからヴィルモッツ監督の指導力を疑問視する声もちらほら聞こえてくる。中心選手はビッグクラブでプレイしているのに監督の(選手としては一流だったが)指導歴は乏しいので、ただでさえそう言われがち。なお、ベルギーは左サイドバックとセンターバック一枚を怪我と出場停止で欠き、代わって左サイドバックにジョルダン・ルカク(トップのルカクの弟)、センターバック左にデナイエルを起用。
●で、この試合、立ち上がりから両者オープンに攻めあう展開に。前半7分、ベルギーが怒涛の波状攻撃でゴール前で3本連続シュートを打ち込むというシーンがあったが、これがすべて阻まれてしまう。そして13分、守備ラインが深くなっているウェールズに対して、ナインゴランがすさまじく強烈なミドルシュートをゴールに突き刺してベルギーが先制。この人の前を開けてはいけない。
●ウェールズは前半30分、右コーナーキックからアシュリー・ウィリアムズが頭できれいに合わせて同点ゴール。後半からベルギーはフェライニを投入して試合の主導権を握ろうとするが、後半10分ウェールズはラムジーのクロスから中央でゴールを背にしたロブソン・カヌにボールが渡る。これを一瞬のターンでディフェンスを交わし、落ち着いてシュートを決めて逆転。ベルギーは反撃に出るが、攻撃がもう一つ散発的で個人頼み。逆に後半41分、ウェールズは右サイドからのクロスに中で走りこんだポークスが合わせて3点目をゲット、勝負がついた。ディフェンス・ラインの左半分でメンバーを代えざるを得なかったベルギーは不運といえば不運だが、なすがままにやられた感も。
●これでウェールズはベスト4進出。次はポルトガルと決勝戦進出を賭けて戦う。ウェールズのベイルとポルトガルのクリスチャーノ・ロナウド。ともにレアル・マドリッド所属のスーパースター対決になるが、両チームの印象はずいぶん異なる。ウェールズではだれもベイルに遠慮などしていないし、彼を中心にチームが一体となっている(少なくともそう見える)。ポルトガルはみんなクリスチャーノ・ロナウドの顔色をうかがってプレイしている(ように見える)。なかなか興味深い対戦が実現したのでは。またクリスチャーノ・ロナウドに「メッシ・コール」をする者がいるだろうか? ウェールズ 3-1 ベルギー。
July 3, 2016