July 8, 2016

EURO 2016 準決勝 ポルトガル対ウェールズ。レアルマドリッドの2大スター対決

ポルトガル●ポルトガルにはクリスチャーノ・ロナウド、ウェールズにはベイルというレアルマドリッドの二大スーパースターがいる。しかしこの日はだれがいるかよりも、だれがいないかのほうが重要だったのかも。ポルトガルにはペペとカルヴァーリョがいない。ウェールズにはラムジーとベン・デイヴィスがいない。主力二人ずつを欠くという点では互いにイーブンだが、不在の影響を圧倒的に感じさせたのはラムジーのほう。ウェールズの攻撃があまりにベイルひとりに頼る形になってしまう。ベイル自身はキレていた。縦へのスピーディな突破、遠目からでも打てる強くて正確なシュート。しかし組み立てから突破からフィニッシュまでひとりでやるわけにはいかない。
●前半は序盤を除けば互いに慎重な「ミス待ちサッカー」で、眠くなるような展開。しかし後半になると一気に試合が動いた。後半5分、ポルトガルは左コーナーキックから、クリスチャーノ・ロナウドがドンピシャで頭に合わせて先制ゴール。マークに付いたウェールズのチェスターの頭の上から余裕で競り勝って完璧なシュート。後半8分、今度はクリスチャーノ・ロナウドがミドルシュート、ゴールに向かうボールに対して、オフサイドポジションにいたレナト・サンチェスはすっと足をあげてスルーし、オンサイドにいたナニはさっと足を出してワンタッチでボールの軌道を変えた。キーパーはどうしようもない。2対0。
●ここからポルトガルはとても堅実に戦った。リスクを冒さず、このまま試合を終わらせる。クリスチャーノ・ロナウドの機嫌がいいと、みんなのびのびとプレイできる(ような気がする)。ウェールズは最後まで攻撃のタレントが一枚不足していた。大会初出場でここまで来たウェールズ。好感度抜群のチームだったが、想定外に勝ち進んだことで選手層の薄さが露呈してしまった感。ポルトガルはよく考えてみると今大会90分以内で勝利したのはこの準決勝が初めてなわけで、彼らは一貫して慎重なサッカーをしているともいえる。これは前回と前々回の覇者スペインが見せた守備的ティキ・タカ(華麗なパス回しでボールを慎重に保持して相手に渡さない)とも通じると思うんだけど、勝てるチームは攻撃的なタレントを有しながらも、その能力の高さを「相手に攻めさせない」ために使う傾向があると思う。ポルトガル 2-0 ウェールズ
●これでポルトガルは決勝進出決定。以前、決勝で涙をのんだのはいつだっけ? あ、2004年か。あれから12年も経ったとは! あのときもクリスチャーノ・ロナウドのチームだったように記憶しているんだが、ホントか?
●この日の主審はスウェーデンのヨナス・エリクソンさん。この人は有名な審判で、もともと投資業界に身を置いていたが、母国のスポーツメディア会社IECの15パーセントの株式を売却して億万長者になり、今はお金のためではなく個人の喜びのために審判業を続けている。審判で稼ぐお金よりも、資産が稼ぐ利息のほうが大きいとか。人呼んで、世界一買収が難しい審判。その話を聞いて反射的に思い出すのは、日韓ワールドカップのイタリアvs韓国戦で大暴れしたエクアドルのモレノ。あのときモレノはトッティをレッドカードで追い出すわ、トンマージのゴールを取り消すわと大変な物議を醸したが、なにがすごいって審判を引退した後、母国で審判員養成学校を設立したというブラックジョークみたいな展開があり、さらにその後、ケネディ国際空港でパンツのなかに6キロものヘロインを隠し持っていて逮捕されたのであった(どんだけ巨大なパンツなのよ)。同じ国際主審でもこれだけ違うのかと感心するほかない。

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