●この試合で主力選手を欠いたのはドイツ。フンメルスが出場停止、ケディラとマリオ・ゴメスが故障。唯一9番らしい選手ということで代表復帰したマリオ・ゴメスだが、いないと困るのか、いなくても困らないのか……。攻撃陣はミュラーをトップに置き、ドラクスラー、クロース、エジル。ゲッツェはベンチ。十分にタレントがそろっているのでは。一方のフランスだが、前の前の試合から円滑に機能している4-2-3-1をこの日も採用して、好調な流れを大切にすることに。そのためカンテはベンチに。
●前半、開始直後はホームのフランスが攻勢に出た。早くも前半7分に絶好調のグリーズマンが細かいパス交換から突破して決定機。これは惜しくも決まらず。が、その後はドイツのペースが続く。前半13分、右サイドからマイナス方向のクロスにミュラーに決定機。これは足にヒットせず。前半27分あたりからドイツは波状攻撃で、次々とフランスのゴールを脅かす。フランスは中盤でのプレッシャーが甘い。ドイツの先制は時間の問題と思われたが、前半ロスタイムにまさかの展開。シュヴァインシュタイガーがゴール前でハンドを取られてPK、これをグリーズマンが決めてフランスが先制。まあ、たしかにPKには違いないのだが、このゴールが決勝点になってしまうと後味が悪い……。
●後半、スタンドからアイスランド式の「ウッ!(手拍子)」が飛び出す。笑。フランスの観客はアイスランド戦ではこの名物に対してブーイングを浴びせていたのに、どうやら自分たちもマネすることにしたらしい。いやー、これはいいっすね。代表戦はこういうのが楽しい。
●後半もドイツは攻めていたが、フランスに余裕が出た分、前半ほどのクォリティはなかったかも。後半27分、ペナルティエリア内の左サイドでポグバが粘って個人技でムスタフィを交わすと、ふわりとクロスを中へ。ノイアーがかろうじて弾くが、こぼれたところをグリーズマンが足裏キックのような形で押し込んでゴール。2点目。ロスタイムにはドイツが迫力のある捨て身の総攻撃を見せてくれたが、実ることなくフランスがそのまま逃げ切った。
●試合終了後、フランスの選手たちとサポたちがいっしょになってアイスランド式「ウッ!(手拍子)」。完全に自分たちのものにしている。開催国が決勝に進めて大会の盛り上がりという点では申し分のない結果に。とはいえなあ……。クォリティではドイツが上回っていたと思うので、少々残念な気も。日頃ドイツばかりが勝つのにうんざりとは思っていたのだが、実のところ内容的にいちばん見ごたえがあったのはドイツ(結局全試合見てるし)。あんなハンドがきっかけで負けてしまったのは惜しすぎる。ホントにドイツというのは勝っても腹立たしいし、負けても釈然としない厄介なチームだ。もっとエジルのクリエイティブなプレイとかゲッツェの逆襲を見たかったなあ。はっ、これではまるでドイツ・ファンではないの。ドイツ 0-2 フランス。
July 9, 2016