July 12, 2016

EURO 2016 決勝 ポルトガル対フランス。来ましたよ、「ポ」が!

ポルトガル●いよいよお祭りも今日でおしまい。EURO2016の決勝はポルトガル対フランスとなった。これ、フランス対ポルトガルじゃなくてポルトガル対フランスなんすよ。実は決勝トーナメントの表を見た時から「あれ?」と思ったのだが、開催国フランスが日程的にいちばん有利なところから少しずれた場所に入っていて、フランスが勝ち進むと決勝戦がアウェイ扱いというか、中二日で迎えることになって、中三日の相手より不利になる。なんでそうなっているのか、雑に想像するとフランスの準々決勝を日曜日に開催したかったのかなとか思うんだけど、ともかくそれで漁夫の利を得たのは準々決勝のポーランドvsポルトガルの「ポ」対決の山。先日の記事で、「ポ」が来ちゃうよーって書いたのは、そういう理由。ま、そうはいっても決勝は休みが少ないほうが勝つこともよくあるのだが。
●試合を軽く振り返っておく。フランスは好調の4-2-3-1を引き続き採用。ポルトガルは今大会4-4-2でクリスチャーノ・ロナウドとナニの2トップを採用している。序盤はフランスが仕掛け、ポルトガルが試合をゆっくり進めようとする展開。フランスは開催国ゆえのテンションの高さに加えて、相手より疲労度が高い分だけ延長戦を避けたいと考えるはず。前半8分、パイエとの接触でクリスチャーノ・ロナウドが倒れ込む。さほどのダメージには見えず、場内は「その手は食わないよ」とブーイングが吹き荒れるが、しばらくするとクリスチャーノ・ロナウドはピッチ外へ。いったんは戻るがやはりプレイ続行は不可能ということで、25分に早々にクアレスマと交代することに。実質、彼は8分しかプレイしていない。ポルトガルは4-1-4-1でナニのワントップに。これでポルトガルは苦しくなったが、一方で、いつもクリスチャーノの顔色をうかがっていたチームが自分たちだけでヤル気になったらどうなるのかを見たかったという気分も大いにあり。
●フランスはムサ・シソコが気を吐いていたが、全般に体が重い。ボールを保持して攻めるが、あと一歩のところで攻め切れない。ポルトガルは10番のジョアン・マリオがいい。7番がいなければ主役は君なんじゃないの。前半44分、スタンドであくびをするフィーゴ(来てたのね)。28度という高めの気温もあってか、特にフランスは走行距離も少なめ。後半に入ると途中出場のコマンらがチャンスを作る。途中からはポルトガルの運動量も落ちてきて、両者交代選手頼みといった感。惜しかったのは後半ロスタイム、ジニャックが至近から打ったシュートがポストに跳ね返った場面。終了直前の劇的ゴールで開催国が優勝を手にするまで、あとボール半個以内まで来た瞬間だった。
●延長に入ってからも攻めるフランスと守るポルトガルの構図は変わらず。ポルトガルは耐えた。レナト・サンチェスに代わって入った肉体派のエデルはたびたび体を張ってファウルをもらってチームを助けていた。この選手、今までポルトガル代表で見るたびにパワーはあっても、足元の技術や敏捷性が今一つで「あー、またロッカールームでクリスチャーノから叱られるのかなあ」と妄想を刺激してくれていたのだが、ついにクリスチャーノを差し置いて主役になる日がやってきた。延長後半4分、エデルが左サイドから真横に中へと入り、かなり遠目からの位置ではあったが思い切って右足を振り抜くと、これがゴール左隅に吸い込まれてついに先制。これが決勝点となった。ポルトガル 1-0 フランス
●自分はクリスチャーノ・ロナウドに「メッシ」コールをするイジワルな人たちの気持ちが少し理解できてしまう汚れた人間なので、こんな大事な試合で早々に負傷交代したエースがどうなるのか、かなり気になっていた。さすが、スーパースター、ベンチに消えたりはしない。途中からまるで監督のようにライン際に立って、選手たちに声をかける。延長に入る前には選手たちをひとりひとり鼓舞する。もう監督になる練習してるの? 試合終了後の表彰式でトロフィーを真ん中でまっさきに掲げるのはやっぱりクリスチャーノ・ロナウドだ。そりゃそうだろう。オレの心のなかの悪魔が、他の選手たちの妄想コメントを吐き出す。「ふー、クリスチャーノがいないとのびのびと自分らしくプレイできるぜ!ハハッ!」。いや、そんなわけないから。たぶん。きっと。
●12年前、ポルトガルは自国開催のEUROで決勝まで進み、最後に退屈なギリシャに屈した。今年、ポルトガルは雪辱を果たして、主要国際大会の初優勝をなしとげ、一方で開催国フランスは準優勝に甘んじた。なかなかドラマティックな大会になったのでは。ポルトガルはクリスチャーノ・ロナウドもナニもクアレスマもペペももうベテラン。サイクルの最後に盛大な花火を打ち上げた。
●ところでキックオフ前からやたらと選手たちの頭髪などに蛾がたかっていた。最初は蝶かなと思ったけど、蛾。これはセキュリティ上の理由から前夜から夜通し照明を点灯してたら、すさまじい大量の蛾がスタジアムを埋め尽くすことになったのだとか。うーん、蝶なら美しかったが、蛾じゃねえ……。

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