●19日は東京オペラシティで第26回出光音楽賞受賞者ガラコンサート。今年の受賞者は川瀬賢太郎(指揮)、薮田翔一(作曲)、山根一仁(ヴァイオリン)の三氏。演奏に先立ってまずは授賞式がとりおこなわれた。司会は同賞選考委員でもある池辺晋一郎さんと、テレビ朝日アナウンサーの松尾由美子さん。
●セレモニーに続いて、川瀬さんが横浜シンフォニエッタを指揮してモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲、シューマンの交響曲第3番「ライン」から第1楽章。ていねいで推進力のある演奏で続きも聴きたくなる。休憩後は薮田翔一作曲の演奏会用組曲「風神雷神」。これはもともとは歌舞伎役者の舞を伴った作品だが、今回のために演奏会用組曲として再構成したもの。オケに加えてピアノに萩原麻未、ソプラノに半田美和子というゴージャス仕様。たぶん、氏のほかの作品と比べると相当に明快な作風がとられた曲で、そのまま映画音楽などに使われてもおかしくないくらい。オーケストラ曲だが、打楽器アンサンブルや弦楽四重奏で演奏される部分もあり、きわめて色彩的で物語的。「尊敬する作曲家は?」と尋ねられて、司会の池辺さんを目の前に堂々と「池辺さんです」と答えてくれた(おふたりは旧知の間柄)。
●山根さんは「幼稚園の頃から大好きだった」というショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番から第3、第4楽章。これはもう恐るべきクォリティ。キレッキレの鋭さで、第3楽章の厳粛な長大なソロからクレイジーな第4楽章へと突入するコントラストの鮮やかさは鳥肌もの。ホント、全曲聴きたかった。
●さて、池辺さんの司会となれば、はたしてどんなダジャレが飛び出したかが気になるところであろう。しっかりメモって来ました!(なんでよ)。冒頭のセレモニーで松尾さんから「出光音楽賞の選考基準は?」と聞かれて、「やはり光を出している人ですね……出光だけに。あとはアブラの乗っている人」。ダジャレとは少し角度を変えた、授賞式にふさわしい狙い澄ましたジョークであった。
●公演の模様は「題名のない音楽会」で9月4日(テレビ朝日)に放映予定です。
July 22, 2016