●24日は所沢市民文化センターMUSEのマーキーホールで、ズーラシアンブラス+弦うさぎ「音楽の絵本」親子で楽しむクラシックコンサート。ズーラシアンブラスは子供たちに大人気の動物たちによる金管五重奏。クールでカッコいいインドライオンのトランペット、愛嬌のあるドゥクラングールのトランペット、のんびり屋のマレーバクのホルン、お調子者のスマトラトラのトロンボーン、沈着冷静なホッキョクグマのテューバの五重奏に、しっかり者のリーダーであるオカピが指揮者として加わる。この日はうさぎたちの四人姉妹による弦うさぎも加わり、カッコいい系のブラスとかわいい系の弦楽四重奏の両方があって、男子も女子も楽しめる構成になっていた。
●一曲目はワーグナーの「ローエングリン」第3幕への前奏曲をブラスの演奏で。コーダが「禁問の動機」入りバージョンになっていて、動物たちもワーグナーには一家言ある様子。ヨハン・シュトラウス「皇帝円舞曲」やプッチーニ「だれも寝てはならぬ」といったクラシックの名曲から、久石譲「となりのトトロ」、渡辺茂「ふしぎなポケット」、八木節、ロンドンデリーの歌など、曲目は多彩。後半で演奏された「弦うさぎの一日」は、うさぎさんたちの一日の過ごし方を名曲メドレーでたどったもので、グリーグの「朝」、ヨハン・シュトラウス「トリッチ・トラッチ・ポルカ」、キューピー3分クッキングのテーマ、ベートーヴェンの「田園」第1楽章、ドヴォルザーク「新世界より」第2楽章、チャイコフスキー「眠りの森の美女」ワルツ、あともう一曲最後に超有名なピアノ曲が続いたんだけど、えーと、なんだっけ、シューマン「トロイメライ」だったっけ?(記憶違ってるかも)。
●ブラスの5人がものすごく上手い(特にインドライオンさん、何者ですか)。あ、動物だから5人じゃなくて5体? ケダモノ界の人材豊富さをうかがわせる。編曲もいい。で、すばらしいなと思ったのは司会のお姉さんも含めてショーとしての完成度が高く、子供たちを本気で喜ばせていたところ。「いい音楽さえ聴かせれば子供たちは喜ぶ」なんてワタシはぜんぜん信じない。やっぱり子供に正面から向き合った練った演出が必要なんだなと痛感した。たとえば、それぞれの動物にキャラ設定があるわけっすよ。ホルンのマレーバクはぼんやりして、うっかりすると演奏中に昼寝なんかしちゃうという設定。最初のほうでお姉さんが、眠ってしまったマレーバクに向けて、会場の子供たちに「起きて―!」って言わせる。で、一回それをやっておくと、後半で「だれも寝てはならぬ」を演奏中にマレーバクがウトウトすると、子供たちは自発的に大きな声で「起きて―!」って大喜びしながら声を出してくれる。こういうのって、だれでもできる(=台本を書ける)ものじゃない。よくできているし、ずいぶん試行錯誤を重ねたのかなって思う。
●最初にお姉さんが会場に「ズーラシアン・ブラスに今まで会ったことのある人!」って尋ねたら、たくさん手が挙がっていた。リピーターが多いのも納得のクォリティ。
July 27, 2016