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July 29, 2016

ラウタヴァーラ、中村紘子さん逝去

●訃報がふたつ続いた。フィンランドの作曲家エイノユハニ・ラウタヴァーラが世を去った。87歳。今年のラ・フォル・ジュルネで、鳥と管弦楽のための協奏曲「カントゥス・アルクティクス」が話題を呼んだことが記憶に新しい。交響曲第7番「光の天使」ほかの管弦楽作品、室内楽曲、独奏曲、オペラ、合唱曲など、録音には恵まれている。交響曲は第8番「旅」(1999)が最後だったのだろうか。近作ではアン・アキコ・マイヤーズのために書いたヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲(2015)の初演が2017年3月に予定される。
●もうひとつは中村紘子さん。7、8年前だったか、全国各地でのリサイタルを前に情報誌用にインタビューでご自宅に伺ったことを思い出す。そのときの話でいちばん印象に残っているのは「演奏会は一期一会だ」ということ。演奏する側はツアーであちこちを回って同じプログラムを何回も演奏するが、お客さまのほうは自分が足を運んだ一回きりの公演がすべてなのだから、一回一回のために決して準備を怠ってはいけないといったことをおっしゃっていた。なにしろ大御所、しかもご自宅ということで、こちらは滝に打たれる覚悟で出向いたのだが、会ってみるとまったく尊大ではなく、むしろこちらを気遣ってくれる方だったので感激した覚えがある。
●謹んでご冥福をお祈りいたします。

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