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August 2, 2016

シューマンのフンメル評

●シューマン著の「音楽と音楽家」(吉田秀和訳/岩波文庫)に出てくる一節。

音楽の発展の速いことは、実際ほかの芸術の比ではなく、比較的よいものでも、十年もたってなお世間の人の口にのぼるものは、ほとんどないといってもよいくらいである。

●これはフンメルのピアノ練習曲op125に対する評のなかで、「この老大家の新しい曲にしても、あらゆる力が調和して働いていた作品60から80台までの曲の美しさと同列に並べてみようというのは、まちがいだろう」と切り捨てた後に出てくる言葉。ギュンギュンと時代が猛スピードで進んでいく様子が伝わってくる。10年も経ったらすっかり過去。半世紀前に書かれた曲を現代音楽と呼ぶ現代人に比べると、19世紀人はずいぶん気が短い。
●あるいは高度に情報化が進み、情報の蓄積や共有化が容易になったおかげで、19世紀だったらあっさり忘れ去られていたものが、現代では延々と吟味され続けるようになったともいえるのかも。
●で、せっかくだからフンメルの作品60から80台のどれかを聴いてみる?

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