●3日は東京芸術劇場ナイトタイム・パイプオルガンコンサートへ。以前から気になっていたこのシリーズに、ようやく足を運ぶことができた。小林英之のオルガンにトランペットの山本英助が共演。19時半に開演して、休憩なしで20時半頃に終演するという、平日夜向けのフレンドリーな設定。これは余裕があって気楽。おまけに全席指定で1000円と格安。お客さんはしっかり入っていた。
●芸劇のオルガンって、ふたつの顔があるじゃないすか。いかにも格調高いクラシックな雰囲気のデザインと、シルバー基調の流線形みたいなモダンなデザインと。あれって、ゴゴゴってオルガンが回転して変わるんすよね。で、顔が違うだけではなくて調律も違っている(→参照:東京芸術劇場 パイプオルガンの魅力)。なので、このコンサートでも前半はクラシック面でスタートして、パーセル、バッハ他を演奏して、後半はモダン面に変更してホヴァネス、大関民弘、コッホ、レーガー他を作品するという、作曲年代に応じて使用面を変更するという趣向。「ただいまより、オルガンを回転しますので、その場で3分ほどお待ちください」ってアナウンスが入って回転するんだけど、これが巨大ロボの合体変身シーンを見るかのよう。マシーン好きは萌える。
●細かなところの工夫も効いていて、曲と曲の合間にこれから演奏する曲名を字幕で投影してくれるのが親切。あと、照明演出が想像以上に効果的。
●演奏曲ではホヴァネスの「聖グレゴリーの祈り」をトランペット+オルガンで聴けたのが嬉しい(原曲はトランペット+弦楽アンサンブル)。素朴な美しさとキッチュさの同居がカッコいい。コラール「静かな喜び」をボルネフェルト、ペッピング、ディストラー3人の作品で聴けたのも吉(どれも20世紀の作曲家の手によるもの)。つなげるとひとつの変奏曲を聴いている気分になる。レーガーは「序奏とパッサカリア」ニ短調で重厚絢爛。アンコールに同じくレーガーの「ロマンツェ」。このシリーズはまた行きたい。
August 4, 2016