●30日もサントリー芸術財団サマーフェスティバルで、サントリーホールへ。今年の国際作曲委嘱シリーズのテーマ作曲家はサーリアホ。別途室内楽公演があって、この日は管弦楽。前半にシベリウスの交響曲第7番、サーリアホの「トランス(変わりゆく)」世界初演(ハープにグザヴィエ・ドゥ・メストレ)、後半にゾーシャ・ディ・カストリ(1985-)の「系譜」日本初演、サーリアホの「オリオン」。エルネスト・マルティネス=イスキエルド指揮東京交響楽団。
●響きは美しいんだけど、うねうねしてて文脈がわかりづらくて長い……ということでいえば、この日で筆頭にあがるのがシベリウス。シベリウス、難しい! 返す返すも交響曲第8番が幻に終わったのが惜しすぎる。あるいはその空想上の延長線をサーリアホに結びつければいいのだろうか。サーリアホの「トランス(変わりゆく)」はハープ協奏曲。3楽章構成で、急─緩─急というか、アレグロ─アンダンテ─プレストみたいになっている。ハープのようなすぐに減衰してしまう音をどうソロに使うか。第1楽章でオーケストラの多彩な音色を用いて、独奏ハープの音を引きとるというか、受け渡す、あるいはエコーするようなやりとりがおもしろい、か。しかし急速な終楽章も含めてダイナミズムや推進力を感じさせる音楽ではなく、むしろ細部まで描き込まれた静物画を眺める気分。後半の「オリオン」のほうが動と静の対比がはっきりしていて聴きやすい。終楽章はもう少し熱狂的な音楽をイメージしていた。ゾーシャ・ディ・カストリの「系譜」は楽しくて吉。カラフルな響きで、みずみずしく、活発。
August 31, 2016