●いよいよワールドカップ最終予選がはじまった。ニッポンvsUAE。ニッポンはこの大事な試合で五輪代表だったセントラルミッドフィルダー、大島僚太を抜擢。五輪組では浅野も途中出場。GK:西川-DF:酒井高徳、森重、吉田、酒井宏樹-MF:大島(→原口)、長谷部-本田、香川、清武(→宇佐美)-FW:岡崎(→浅野)。キーパーとセンターバック1枚と中盤の大島僚太を除けば、途中出場を含めて全員が欧州主要リーグでプレイしているという豪華仕様。UAEでは10番のオマル・アブドゥルラフマンが実力者。開始早々からほとんどニッポンがボールを回し、攻め続け、UAEがカウンターのチャンスを狙うといういつもの展開に。前半11分、セットプレイで本田がヘディングが決まった時点では楽な展開になる予感しかなかった。
●しかしアジアの戦いでは審判の国籍を問わずよく見かける光景だが、ランク上位のチームがリードすると、主審は遠慮なく下位のチームに甘い笛を吹きだす。転んだだけでファウルをもらえる、みたいな。これがファウルやイエローカードだったら、プレミアリーグなんか一試合たりとも成立しないくらいだろうと思うような笛が、片方だけに吹かれる。かつて弱かったころのニッポン代表もそういう笛に救われていた時代があったという認識はあるので文句ばかりもいえないのだが、いざアジアの外に出てワールドカップ本大会になれば、こんなおかしな笛に助けてもらうことはできない(はずだったのだが、2002年にまさにその笛の力が大爆発したという暗黒の歴史……)。酒井宏樹、吉田のディフェンスラインに立て続けにイエローカードが出て暗雲が立ち込める。なかったはずのフリーキックをUAEが決めて同点。後半8分、エリア内に攻め込んだアルハンマディに対して守備は人数がそろっていたのに、露骨なPK狙いにまんまとひっかかって(大島が。あるいは主審が)、PKを決められて逆転。ニッポンは次々と好機を作るが、あと一歩のところでゴールが決まらない。浅野拓磨のシュートは完全にゴールラインを割っていたが、主審はゴールを認めない(ゴールライン・テクノロジーどころかゴールを判定する追加副審すらいないというアジアの最終予選……トホホ)。宇佐美が倒されてもPKはもらえない。中東お家芸の時間稼ぎも功を奏して、1-2で試合終了。
●しかし、いくら主審があれでも、失点は自分たちのミスだし、攻撃陣がチャンスに決めきれなかったのも事実なんだから、やっぱり(大島の人選も含めて)ハリルホジッチ監督も選手も未熟だった、という論調もありうるんだろう。でもな。そんな大人の反省、まるっきりする気になれない。サッカーで負けた気がまったくしない。競技をしようじゃないか。オレたちは「アジアの戦い」に敗れただけ(と強弁するのを負け惜しみという)。
September 2, 2016