●11日は、すみだトリフォニーホールで山田和樹指揮オーケストラ・アンサンブル金沢&東京混声合唱団。岩城宏之メモリアルコンサート(没後10年)の東京公演として開催された公演で、リゲティの「ルクス・エテルナ」(こちらは無伴奏合唱)、ベートーヴェンの交響曲第2番、フォーレの「レクイエム」というプログラム。リゲティとフォーレは鎮魂の音楽であるとして、ベートーヴェンの第2番は「ハイリゲンシュタットの遺書」つながりでの選曲? 先に金沢で開催された岩城宏之メモリアルコンサートでは、ベートーヴェンではなくバーバーのヴァイオリン協奏曲が演奏された模様(独奏はOEKコンサートマスターで、今年の岩城宏之音楽賞受賞者であるアビゲイル・ヤング)。バーバーも聴きたかったなーと思うが、でもベートーヴェンが楽しかったのであった。
●リゲティの「ルクス・エテルナ」といえば映画「2001年宇宙の旅」。この曲、「進化」とも「宇宙」ともなんの関係もない曲なんだけど、いまだにこの曲を聴くとモノリスとか頭に浮かんでくるから刷り込みは怖い。緻密で静謐なそれ自体で完結した音楽であるのに、なにかの予兆のように思えてしょうがない。そんな「ルクス・エテルナ」が導くのがベートーヴェンによるはつらつとした19世紀開幕宣言。OEKの機動性を生かした小気味よい演奏で、特に終楽章の躍動感は聴きもの。以前のN響定期でも感じたけど山田和樹の煽り(といっても落ち着き払ったものなんだけど)にオケがククッと反応する感が吉。OEKは普段は弦の対向配置を採用していると思うが、ここでは通常配置。山田和樹のベートーヴェンというと、日フィルと第1番をあえて大編成で、しかも往年の巨匠風の大胆なテンポの操作を交えていたのが印象に残っているが、この日はそんなことはなくて、室内オーケストラの鋭敏さや親密さが際立っていた。フォーレは合唱に加えて、与那城敬、吉原圭子の両独唱が見事。透明清澄というよりは血の通ったフォーレ。
September 12, 2016