●24日はNHKホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮N響。プログラムはモーツァルトのピアノ協奏曲第27番変ロ長調とブルックナーの交響曲第2番。モーツァルトでソロを務めたのはラルス・フォークト。譜面台を立てずに楽譜を置いて、セルフ譜めくりスタイルで。以前に協奏曲を聴いたときもそうだったけど、フォークトはソロの出番がないところでもしばしばオケに顔を向けてアイコンタクトをとる。一小節一小節に丹念に表情が付けられた、ニュアンスに富んだモーツァルトで、オケもこれに寄り添って対話が繰り広げられるという、まさに室内楽の延長のようなモーツァルト。すごい説得力。とはいえ、こんなにもエモーショナルなモーツァルトに共感できるかと問われたらどうだろうか。第2楽章の終盤だったかな、独奏ピアノとフルートにヴァイオリンがソロで加わるところがあって、新鮮な趣向。アンコールにシューベルトの「楽興の時」。偶然にも前日のOKEでオケ版でアンコールを聴いた曲だった。客席にはその前日にモーツァルトを弾いたバウゼの姿があったそうだけど。
●後半はブルックナーの交響曲第2番。休憩中にできる例の行列(1階)はワタシが見たときは奥の売店のあたりまで続いていた(そんな情報いらない)。で、この曲、ライヴでは以前にムーティ&ウィーン・フィルが取りあげてくれて大感激した記憶が残っているのだが、それとはまた違った味わいで、ぐっとマッチョできびきびとしたブルックナー。作品についてこの日の感触で言えば、第1楽章が記憶にあるよりゴツゴツとして粗削りな感じなんだけど、後半のスケルツォとフィナーレはぐんと成熟度を増してブルックナー完全体の様相。肥大化していない分、過度の儀式性から自由になれて、すがすがしいくらい。そして充実のブラスセクション。
September 27, 2016