●ベルリン・フィルの次期首席指揮者に指名されて時の人となったキリル・ペトレンコだが、日本に来たこともなければ、録音もほとんどないとあって(ないわけじゃないけど、きわめて限定的)、話題の割には「聴けない」指揮者になっている。ベルリン・フィルのDCHにアーカイブされているペトレンコ指揮の2公演に頼る状況が続いていた。
●が、ここでキリル・ペトレンコ指揮バイエルン国立管弦楽団の2公演を。ひとつは音声のみで無料でオンデマンド配信されているバイエルン放送のライブ中継。リゲティ「ロンターノ」、シュトラウス「4つの最後の歌」(ディアナ・ダムラウ)、チャイコフスキーの交響曲第5番というプログラム。ひとまずチャイコフスキーだけ聴いたのだが(1時間8分あたりからスタート)、これは聴きもの。おなじみの名曲とあって、ペトレンコへの印象がはっきりとするのでは。それにしてもバイエルン国立管弦楽団、本当に美しい響きを持ったオーケストラで聴きほれてしまう。特にこの弦楽器の質感。これだったら、別にベルリン・フィル、要らないのでは、とつい思わんでもない(そんなことないけど)。あと、終楽章のコーダ直前の休止でドンピシャのタイミングでくしゃみをしたオバサン(?)が絶妙すぎる。ペトレンコの演奏を渇望する全世界のクラヲタに捧げる華麗なるハクション。
●もうひとつ、ベルリン・フィルの有料映像配信DCHにも一公演があがっていて、こちらはキリル・ペトレンコ指揮バイエルン国立管弦楽団のベルリン・ムジークフェストでの公演(ベルリン・フィルじゃないけど配信されている)。やはりリゲティ「ロンターノ」ではじまり、バルトークのヴァイオリン協奏曲第1番(フランク・ペーター・ツィンマーマン)、シュトラウス「家庭交響曲」、ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲と続く。トレイラーあり(高画質)。
September 28, 2016