●24日は上野の東京文化会館でウィーン国立歌劇場2016日本公演開幕記者会見。今日から「ナクソス島のアリアドネ」が始まるわけだが、それに先立って会見が行われた。歌劇場総裁のドミニク・マイヤー、指揮のマレク・ヤノフスキ、「ナクソス島のアリアドネ」で主要キャストを務めるグン=ブリット・バークミン、ダニエラ・ファリー、ステファニー・ハウツィール、そしてステファン・グールドが登壇。会見場はなんと、ステージの上。記者たちは「ナクソス島のアリアドネ」のセットと思しきステージ上の客席に座るという趣向で、正面にはひな壇があり、その向こう側に文化会館の広大な本物の客席が広がっていた。これも「ナクソス島のアリアドネ」ならでは。おもしろい。以下、印象的だったコメントを拾ってみる。
●マイヤー総裁。総勢300名以上での引っ越し公演で、日本公演はウィーン国立歌劇場にとってとても大切なものであり、楽しみにしている。ウィーンでも公演は行われているので、10月は合計40公演を行なうことになる。今回はウィーンゆかりの作曲家たちの作品が上演されるが、なかでもリヒャルト・シュトラウスはこの劇場のかつての総裁であり、初演100年を迎える「ナクソス島のアリアドネ」を上演できてうれしく思う。
●ヤノフスキ。「ナクソス島のアリアドネ」は歌手陣をそろえるのが大変だが、今回は各役にすばらしい歌手が集まった。特にテノール/バッカス役は本当に難しく、これを歌える人はほんのわずか。ステファン・グールドが(急逝したボータの代役として)来てくれて、とてもうれしい。みなさん、明日までに病気にならないように(一同笑)。この作品はオペラではあるが、オーケストラは室内楽的な編成で、合計36人で演奏される。ひとりひとりがソリストであり、室内楽のように演奏しなければならない。最後は36人がくたくたになって終わるオペラ。
●グールド。みなさんご存知のように、9月の初めから新国立劇場の「ワルキューレ」でジークムントを歌っていた。その後、台湾でコンサートがあり「大地の歌」を歌って、すぐにまた東京に戻ってくることになった。私はウィーンに住んでいるので、この劇場のために歌えるのはうれしいこと。しかしなぜ今ここにいるかといえばボータの悲しい知らせがあったから。今回歌えることを名誉だと思っている。このプロダクションがウィーンで最初に上演された際のキャストが私だったので、ベヒトルフの演出についてはよく知っている。ノーマルでコンパクトで、演出が音楽や人物像を壊すことはない。人物描写にすぐれた演出だと思う。
●公演は25日、28日、30日、東京文化会館にて。
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●この会見の直後、同じ東京文化会館内の会議室に移動して、東京・春・音楽祭2017の会見へ。ヤノフスキも移動して、続けて登壇。その模様はまた後日に。
October 25, 2016