●27日はサントリーホールでトゥガン・ソヒエフ指揮N響。前半にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(エリーザベト・レオンスカヤ)、後半にドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。レオンスカヤは客席の喝采にこたえて、アンコールになんとベートーヴェン「テンペスト」の終楽章。まさかと思ったけど、この日のプログラムが比較的短めなので(定期二日目は生中継もないことだし)、それぐらい聴かせてくれる選曲もありなのか。ソヒエフの「新世界より」は独特。以前にも感じたけど、多くの演奏がスパッと歯切れよく演奏するところを、フレーズを大きくとらえてテヌート気味で歌わせる傾向があって、重心の低い大柄な音楽が生み出されていた。
●ところで「新世界より」といえば、第4楽章で1回だけ登場するシンバルがよく話題になるけど、あの「シャーン」は列車の連結音だっていう解釈が巷にはあるのだとか。そう言われてみると、第4楽章の冒頭は徐々にスピードアップして爆走する機関車としか思えなくなる(オネゲル「パシフィック231」みたいな)。なんとなく自分はずっとあのシンバルは「はい、ここから回想シーンね」みたいな合図で、そこからモヤがかかるみたいに感じていた。「新世界より」はどこまで鉄道的な解釈が可能なのだろうか。
October 31, 2016