●4日は東京オペラシティでブロムシュテット指揮バンベルク交響楽団。当初、ベートーヴェンの「エグモント」序曲とブルックナーの交響曲第7番という少し短めのプログラムで発表されていたのが、直前になって「エグモント」序曲ではなくモーツァルトの交響曲第34番ハ長調に変更されることに。長さとしては標準的なコンサートになったわけだが、第34番という秀作なんだけどありきたりではない選曲が吉。
●で、バンベルク交響楽団、モーツァルトの最初の一音が鳴った瞬間から「あー、なんて美しい音のオーケストラなの」とノックアウトされる。ブルックナーも頭のトレモロからそう。たしかにドイツ的な重厚な響きではあるんだけど、音はむしろ明るくて、みずみずしいといってもいいくらい。この弦楽器の響きの質感と来たら、なめらかでコクがあってキレがある……ってそれじゃビールの宣伝だ。いやしかし弦だけじゃなくて柔らかい木管も、バリバリ鳴るのに濁った感じのしない金管も。夾雑物のない清澄荘厳なブルックナー。昨年くらいにブルックナーの7番を自分で勝手にシリーズ化して聴き比べていたのだが(やたらと演奏されるので)、なんだかもう新規性とか作品観の更新とかどうでもよくなる。このままいつまでも終わらないでほしいと願いながら聴いた。自分にはこれ以上美しいブルックナーを想像できない。
●曲が終わった瞬間、一呼吸置いてから客席が盛大に沸いた。ブロムシュテットのソロ・カーテンコールは2回も。
●ブロムシュテット、89歳なんすよ。今回のアジアツアー、10月26日、27日とソウル公演で、中一日で日本公演が29日、30日、中一日で11月1日、2日、3日、4日、5日と公演が続いた。微塵も疲れを感じさせない。菜食主義だから壮健なんて話じゃないと思うんだけど、いったいどうなってるんでしょ。
November 7, 2016