●11日は東京オペラシティでバッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハのロ短調ミサ。鈴木雅明指揮、朴瑛実、ジョアン・ランのソプラノ、ダミアン・ギヨンのアルト、櫻田亮のテノール、ドミニク・ヴェルナーのバス。ひたすら濃密な時を過ごす。清澄でありつつ気迫のこもった魂のバッハ。やはりこの曲は特別な作品であると改めて実感。以下、つらつらと思うままに。
●あのナチュラルトランペットって、当時はどれくらいの精度で吹けていたんすかね。タイムマシンに乗って確かめるとかそういうんじゃなくて、現実的に確かめる方法はないんだろうか。なにかとんでもないトリックが用意されているミステリーを期待。
●昔からよくバッハの大作で「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「ロ短調ミサ」でどれが好きか、みたいな問いがあるじゃないすか。この回答は自分はずっと迷わず「ロ短調ミサ」。なぜかといえばストーリー性がないから。以前はオペラでもオラトリオでも、ストーリーがあるとそっちにも向き合わなきゃならないからヤだなーという謎心理が働いていたのだが、今にしても思うとやっぱり宗教的なバックボーンの問題というか、「マタイ」や「ヨハネ」であらわになる自分の異教徒性が、ロ短調ミサだとミサ典礼文というあまりに遠すぎて抽象化するしかない世界に覆い隠されるから、なのかも。
●バッハってもっと器楽曲を書いてほしかったなー、とよく思う。平均律クラヴィーア曲集第3巻、第4巻、第5巻……みたいに。組曲や協奏曲ならなお吉かも。ブランデンブルク協奏曲第256番くらいまで行っても歓迎。
●「サンクトゥス」を聴いて、モーツァルトの(それともジュスマイヤーの?)レクイエムの「サンクトゥス」を連想するのはワタシだけなのか。
●全編にわたってスペシャルな曲だけど、あえて好きなところベスト3を選ぶとしたらどこだろうか。冒頭 Kyrie eleison のカッコよさ、Gloria の Cum Sancto Spiritu の輝かしさと高揚感、Agnus Dei の寂寞としたアルトのアリア、だろうか。
November 15, 2016