●26日はミューザ川崎でマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団。ハイドンの交響曲第100番「軍隊」とR・シュトラウスの「アルプス交響曲」という大変魅力的なプログラム。2曲の共通項はバンダの活躍か。「軍隊」の第2楽章、トランペットのファンファーレは舞台袖から。第2楽章の後、打楽器隊が袖に引っ込んだので「もしや?」と思ったら、第4楽章終盤で、客電が少し明るくなって、下手から軍楽隊のパレードが登場して客席最前列を練り歩いた。これには笑った。以前、まったく同じ趣向をブリュッヘン指揮新日本フィルで目にしたが、ブリュッヘンによればこれは歴史的にそういう事例があるといった話だったように思う。趣向のおもしろさに加えて、演奏も生気にあふれた見事なもの。
●で、後半は大編成の「アルプス交響曲」。のびやかでパワフルだけど余裕の感じられるブラス・セクションをはじめ、オーケストラ全体が一体となって描く最高水準の音のパノラマ。細部まで彫琢された響きの芸術に圧倒される。描写的でドラマティックな曲ではあるんだけど、むしろ絵画的という意味で静的な印象も。この曲って、自然賛歌であるにもかかわらず(というか、だからこそ)、神々しいと感じてしまう。もっぱら世俗的なイメージを喚起させるシュトラウス作品にあって、例外的に神秘的恍惚感をもたらしてくれる作品というか。盛大な喝采にこたえて、ヤンソンスのソロ・カーテンコールあり。とてつもない演奏を聴いたという実感。
●この日、公演の前に昭和記念公園に紅葉狩りに出かけていたのであった。山歩きの内には入らないけど、先日降った雪もわずかに残っていて、それっぽい雰囲気は少しだけ味わえたか。
November 28, 2016